聖なる薪で「Joyeux Noel!」 2009-12-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 ノエルの夜に欠かせない薪型のケーキBûcheが生まれたのは、ほんの半世紀前のこと。それ以前はというと、復活祭前の日曜から取っておいたツゲと月桂樹(げっけいじゅ)の枝を燃料に、ワインを染み込ませた薪を夜通し燃やしてキリストの誕生を祝った。当時暖炉は調理場でもあったから [...]
プルーストの味を求めて –3 2009-12-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 プルーストが愛した17世紀のオランダ画家、フェルメールの作品に『牛乳を注ぐ女』という名作がある。窓からそっと差し込む光の中、大きな壷に入ったミルクをテーブル上の入れ物に黙々と注ぎ込むその女性像から、『失われた時を求めて』に登場する、語り手一家のメイドであるフランソワーズを思い出 [...]
神をも負かしたソースの主役、バター 2009-11-16 ノルマンディーの作家と食 他 0 4500年前のメソポタミアに起源をおくバターが、フランスに登場するのは中世の時代。カトリックでは年間200日以上にも数えられる小斎の日には、肉はもちろん、ラード、バター、チーズ、卵も禁止されていた。脂肪分の摂取をオリーブ油に頼る南フランスはいいが、困るのは北フランス。南からオリ [...]
プルーストの味を求めて –2 2009-10-30 ノルマンディーの作家と食 他 0 プルーストは朝の新鮮なミルクにこだわっていたが、それはその味へのこだわりに加えて、もうひとつ理由があったように思う。『失われた時を求めて』第二篇『花咲く乙女たちのかげに』で、語り手はバカンスのためパリを離れて列車でノルマンディに向かうが、この道中でその心をつかんだのは、他でもな [...]
新しい文明、フォークの誕生。 2009-10-30 ノルマンディーの作家と食 他 0 使い回しの共有スプーン、各自携帯のナイフに遅れを取ってルネサンス期に現れたフォーク。イタリアから嫁入りのカトリーヌ・ド・メディシスが2つ又のフォークを持参した。当時流行の巨大な襟を汚さずに済むとアンリ3世が推奨しても、フォークは取り合ってもらえないどころか、宮廷で笑いの種だった [...]
スープみたいにびしょ濡れ? 2009-10-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 「Je suis trempé(e) comme une soupe! (雨に降られて)スープみたいにびしょ濡れだ!」って、よく使う表現だけど、スープは濡れなくても液体なのに何か変。実はもともとスープとは、浸して食べるために薄く切ったパンのこと。何に浸 [...]
プルーストの味を求めて –1 2009-10-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 20世紀を代表する小説といわれるマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』が語られるとき、必ず出てくるのは、お茶に浸されたマドレーヌ菓子に関するエピソード。だが、ここではまず作家自身の毎朝の食卓風景から紹介したい。 先輩作家のバルザック同様、プルーストは濃厚なコーヒーを好んだ [...]
発掘! 驚きの mini prix 図鑑! 2009-09-01 ノルマンディーの作家と食 他 0 「えっ! これがこの値段?」おみやげによし、ちょっとした贈りものによし、日々の生活にも役立てる、3 € 以下の個性ある商品を一気に紹介!(み) 洋服に、かばんに、アイロンをぎゅっとあてるだけのエッフェル塔アップリケ。刺しゅうならではの素朴さと、薄紫がかったグレーの絶妙な [...]
フランソワ1世も快調、快腸? 2009-07-31 ノルマンディーの作家と食 他 0 フランスに初めてヨーグルトの前身なるものが出現したのは16世紀。腸の病気にかかったフランス国王フランソワ1世のために、当時オスマン帝国でその驚異的な効能が話題になっていた羊の発酵乳の噂を耳にし、その奇跡の飲物を作る医者を呼び寄せた。数週間の服用の後、王は完治。医者は製法を極秘の [...]
ディジョンと中国のスパイシーな関係 2009-07-15 ノルマンディーの作家と食 他 0 マスタードといえばディジョン、と思いきや、カラシナを栽培し種子を挽いて果汁に混ぜる製法を最初に生み出したのは3000年前の中国人。それがイスラム圏に渡り、ローマ帝国を通してフランスに上陸。〈ディジョン=マスタード〉の図式は、1361年ブルゴーニュ公の催した宴でマスタードを用いた [...]