この店がオープンした去年から、この静かな通りの雰囲気が少し変わった。木とコンクリの内装の、シンプルかつ温かみのあるレストラン。ある日、黒板のメニューに足を止めた。前菜4€、主菜13€、デザート4€、各2種類。昼は2品で16€、3品18€。近ごろ珍しい値段だ、カンティーヌ(食堂)を名乗るにふさわしい!店に入ると正面のオープン・キッチンで料理している人の姿が見える。大きな窓で店内が明るい。
前菜にヒヨコ豆ではなく白インゲンを使ったフムス(アクセントにシソ)、ホースラディッシュの葉は捨てずに添えて色どり。もう一品のかぼちゃの千切りサラダは食感も新鮮だ。日常的な野菜もひらめきをもって丁寧に料理されるとおいしいものだと思う。
メインは一品は肉か魚。この日は牛のほほ肉。もう一品はベジタリアンで、ポワローネギのペストソースであえたヒヨコ豆+焼いたネギ、スカモルツァ・チーズをおろしてかけたもの。
友人ふたり、アリスさんとクロエさんが立ち上げたこの店は、肉は北のパ・ド・カレー県、野菜はイル・ド・フランス(パリ首都圏)農協…と、なるべく近くから旬のものを仕入れる。テイクアウトでも客に弁当箱を持ってきてもらいムダをおさえ、捨てる野菜はコンポストに。 将来はパリの近くに農園を作り、そこで採れた野菜や果物を使った料理を店で出すのが目標だ。
今や〈食〉は、私たちがこの地球上でどう消費し、環境とどう向き合うか、 という日々の問い。こう文字にするとカッコつけのようだが、敏感な若い世代は当たり前のように新しい時代の生活を考え実践している。Champ Libreの店名のごとく、草原をのびのび歩み進むようなふたりの店。オヴニー 編集部近くの、大切にしたいアドレスです。(六)
Cantine Champ Libre
Adresse : 9 rue Taylor, 75010 ParisTEL : 09.8194.1114
アクセス : M°Château d'Eau/République
URL : https://www.instagram.com/champ_libre_cantine/
月〜土12h-15h (予約不可)。 水〜土:19h30-23h (サイトから予約可)。土日はブランチ:11h30-15h。