第71回カンヌ映画祭だより①
C.ブランシェットとMe too運動

 今年は例年より前倒しで5月8日に開幕したカンヌ映画祭。ちょうど国鉄のストの時期と当たってしまいました。私ごとですが、数カ月前から予約していたカンヌ行きの列車のチケットを払い戻しし、夜行バスで前日夜から13時間かけ、ヨレヨレになって翌朝にカンヌに到着しました。でも実際は、自分の列車は運行していたと前日に知りショック…

 映画祭会場に到着すると、まずジャーナリストやバイヤーなど映画関係者は、バッジやカタログを受け取りに行きます。この資料の中に、今年は、これまでに見たことのないチケット型のアナウンスの紙が一枚。


「適切な行動が求められます」「パーティを台無しにするのはやめましょう。STOP ハラスメント!」と書いてあります。

蝶ネクタイのイメージも印刷されており、カンヌの厳しいドレスコードと引っ掛けているようです。紙の裏には、セクハラの被害に遭った人のための相談窓口の電話番号。セクハラ対策に乗り出した今年のベルリン映画祭に続いて、大きな映画祭は実際の行動に出ているのです。

  さて、最初は審査員の記者会見。審査員メンバーは、アンドレイ・ズビャギンツェフ、ドゥニ・ヴィルヌーヴら男性4人、クリステン・スチュワートやレア・セドゥら女性5人と、今年は女性が過半数を占めました。この豪華な顔ぶれを率いる審査委員長は、オスカー女優のケイト・ブランシェット。

 

審査員による記者会見。

  Me too運動にいち早くコミットしてきたブランシェットの抜擢に、カンヌの思惑も囁かれましたが、カンヌ側は純粋に、女性監督をそろそろ審査委員長に選びたかったとのこと。それにしても、タイミングが良すぎる人選ではあります。記者会見でブランシェットは、「美しくいることは、賢さを排除しません」ときっぱり返答。映画祭の最後まで、堂々と物を言う女性映画人たちの言葉が気になります。

 ちなみに、カンヌの総合ディレクター、ティエリー・フレモーによると世界の女性映画監督の率の平均は7%、フランスは20%。そして今年のコンペ作品21本の中で、女性監督作品は三本。まだまだ映画界における男女平等に向け、やるべきことは山積みです。(瑞)