〈ブルゴーニュ特集・その2〉ユネスコ世界遺産・フォントネー修道院と、『ガリア戦記』古戦場へ

ブルゴーニュ特集は、全5回にわたって掲載します。
その1「博物学者ビュフォンの製鉄所へ」
その3「フランスの美しい村フラヴィニーの宿」
その4「プイィ・アン・オソワ、運河はトンネルに入る」
その5「ブルゴーニュワイン900年の歴史を刻んだシャトーで昼食を」

ふたつの海を結ぶ、ブルゴーニュ運河

 大西洋に注ぐセーヌ川の支流ヨンヌ川と、地中海に注ぐローヌ川の支流ソーヌ川を結ぶブルゴーニュ運河。北はミジェンヌから、南はサン・ジャン・ド・ローヌまで全長242km。アンリ4世は1605年ころ、ル・アーヴルとマルセイユをつなぐため、この運河の建設を考えたがモルヴァン山地の工事に関して技術面でクリアできず断念。ルイ15世のもと1775年に着工され、1832年に開通した。

 標高が低い地点(ミジェンヌ)で83m、高い地点(プイィ・アン・オソワ)は378m。運河は189もの閘門(こうもん)で水位を調節するなど、当時の土木建設の最先端技術を駆使したものだった。とはいえ、最大で350t・長さ38.50mまでの船しか通れない最小級運河は、トンネル内は狭く、船がすれ違うことができない不便さや、運河流域に工業都市が少ないことなどもあり、鉄道と道路の発達で70年代には産業用には使われなくなってしまった。

 でも、だからこそ、ブルゴーニュ運河はゆったりとした風情にあふれて美しいのかもしれない。その昔、馬や人が船を引っ張ったという Chemin de halage (曳舟道)を走れば、緑ゆたかな田園風景が楽しめる。今回はそのほんの一部、モンバールからちょっと北にあるビュフォンの製鉄所を訪れてから、また南下、シャトーヌフまでを走りながら名所を訪れた。

Montbard

ユネスコ世界遺産、フォントネー修道院。

ユネスコ世界遺産、フォントネー修道院。

 ユネスコ世界遺産に指定されているフォントネー修道院は、シトー派の修道院。シトー派は 「清貧・服従・純潔」を理想とし、厳しい戒律のもと、祈祷と労働に生きるベネディクト修道会から派生した。そのベネディクト修道会が時とともに腐敗し、クリュニー修道会が改革を行うが、こちらも後に俗化。ベネディクトゥスの教義に回帰しようと山中の湿地を開拓し、1118年に建立されたのがこの修道院だった。

装飾を排した建築は清らかで荘厳。精神性を高められるよう設計された空間に身も心も洗われるようだ。院内では自給自足の生活を営むため耕作や牧畜、製鉄も行われた。フォントネー川の流れを利用した水車で大きなハンマーを動かし、近くで採掘した鉄鉱石を砕き、炉で鉄を造る。工具などの製造、販売もした、前出ビュフォンの製鉄所よりも早い 「欧州最古の製鉄所」。

シトー派はブルゴーニュのワイン造りにおいて大切な修道会だが、ここの周囲にはぶどうはなく、りんご酒を造っていたという。(少し坂道あり)。

修道院内の製鉄所。この壁の向こう側に造られた水車で、写真右端に写っているハンマーを動かす。欧州で最古というプレートもあった。
自給自足の生活が修道院内でできるようになっていて、敷地内は、調和のとれた小宇宙。製鉄所は右の建物の中に。
大寝室。造られた当時は、ガラスなどはなかったという。

Abbaye de Fontenay 21500 Montbard
11/1まで毎日10h-12h/14h-17h。ガイド付き見学10h、 11h、14h、 16h。
11/2-12/18は土日のみ(自由見学のみ)。
入場料 10€/ 7€、ガイド付き12.50 €/7.90 €(26歳未満)
Tél : 03.8092.1500  
www.abbayedefontenay.com


Alise-Sainte-Reine

『ガリア戦記』にも記された古戦場跡。

『ガリア戦記』に記された古戦場跡。
古戦場跡とされる場所に造られた、MuséoParc Alésia。円形のこの建物は、Centre d’interprétationと呼ばれる「アレジアの戦い」を理解するための考古学センター。

 紀元前52年、カエサル率いるローマ軍がウェルキンゲトリクス率いるガリア(今のフランス)軍を制圧した「アレジアの戦い」。カエサルが 『ガリア戦記』に記したこの歴史的な戦いはどこで行われたのか(40ほどの説がある)。

ナポレオン3世は、フランスが初めて外敵に対して国として団結したこの戦いを国史の重要事項として調査を行なわせ、ユジェーヌ・ストフェルがここアリーズ・サント・レーヌを古戦場跡だと確定すると、英雄ウェルキンゲトリクスを讃えるべく丘の上に6.6メートルの巨像を建てた(下写真)。

自分が敗北を喫した戦場を睨むように立つ、ウェルキンゲトリクス。

 すぐ近くでは劇場、神殿、商店などからなるガロ・ローマ時代の町が発見されていて、今も発掘作業が続行中だ。ふもとの平原には博物館(上の写真)の円形の建物があり、アレジアの戦いをオブジェや映像で説明、屋外にはローマ軍の陣が再現されている。センターでは剣闘士(グラディエーター)の武闘や古代オリンピック競技などの再現、実演なども行われる。

丘の上の遺跡とウェルキンゲトリクス像までは坂が急なので、自転車は途中で置いて、30分ほど歩いた。

ローマ軍の陣が再現されている。考古学センターの屋上から、周囲360度見渡すことができる。
最後の戦いが行われたのはこちらの丘、と教えてくれるパネルが屋上にある。

MuséoParc Alésia – Centre d’interprétation
1 route des Trois Ormeaux 21150 Alise-Sainte-Reine
Tél : 03.8096.9623 今年は12/30まで。11/9から博物館の1F展示室が工事に。無休。9、10月は 10h-18h、11月と12月は10h-17h。開館時間は変わるので確認を。www.alesia.com ミュージアム8€/遺跡とセットで10€。
ウェルキンゲトリクス像は屋外なので、いつでも見学可。

運河に戻って、南へ。

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