ブルゴーニュ特集は、全5回にわたって掲載します。
その2「ユネスコ世界遺産・フォントネー修道院と、『ガリア戦記』古戦場へ。
その3「フランスの美しい村フラヴィニーの宿」
その4「プイィ・アン・オソワ、運河はトンネルに入る」
その5「ブルゴーニュワイン900年の歴史を刻んだシャトーで昼食を」
パリから電車で1時間。モンバール駅で降り、駅前で自転車を借りる。すぐ近くを流れるブルゴーニュ運河沿いを走りだすと、みるみる別世界が広がった。刈った草の香り、耕した土の香り。鏡のように並木や空を映す水面、草原で草を食む白いシャロレ牛の群れ。絵画のような風景にうっとりして足は止まってばかり。なかなか先に進めない。
ブルゴーニュ地方の中心都市ディジョンを通り、ヨンヌ川とソーヌ川を結ぶ全長242kmのブルゴーニュ運河。今はレジャー船専用だが、かつては物資を運搬するペニッシュ(平底船)の水路だった。馬や人が舟を曳(ひ)くために造られた曳舟道が、今は自転車レーンとして整備され、運河のほぼ全長に延びている。
今回は運河の一部70kmほどを南下しながら、ローマ帝国のカエサルが『ガリア戦記』に記した「アレジアの戦い」跡や、博物学者ビュフォンの製鉄所、ユネスコ世界遺産フォントネー修道院などに立ち寄った。道中は、釣人がカマスやナマズを釣っていたり、くるみを拾うおばあさんがおすそ分けをくれたり。水門番の家の庭では、くるみでティータイムを楽しむ夫婦と話をしつつ、ゆったりとした時間のなかに入り込んだ。(集)
Buffon
あの博物学者ビュフォンは、地元ビュフォンに製鉄所を造っていた。
ブルゴーニュ地方、モンバール出身の偉大な博物学者、ジョルジュ=ルイ・ルクレール・ド・ビュフォン伯(1707-88)。『博物誌』全36巻を書いた偉業が有名だが、数学、天文学などの研究も行った上、地元に製鉄所を造っており、その水に浮かぶ石の船のような製鉄所跡を見学できる。
1772年に完成した製鉄所は、高炉により鉄鉱石から銑(せん)鉄を生産し、精錬、加工までの工程を同一施設で行う画期的な施設で、1778年の年間生産量は375トンだった。当時製鉄に大きな役割を果たしたのが水車による動力。川の水を分岐させ3機の水車を動かすための流線型の建物が、川の中に設置されている。また、敷地内には従業員家族のための住居や菜園もあり、普段は公開されていないが、文化遺産の日などに見学できる。
この製鉄所は1866年まで稼働し続け、フランスの産業に大きく貢献したが、その後セメント工場に転用されたり、火災に遭い失われた部分も多く、現在、ビュフォンの時代の姿を取り戻すための修復が行われている。
ビュフォン博物館、公園。
ビュフォンは1739年からパリ植物園の園長になり、王の庭園だったのを研究機関にした。外国からフランスに持ち込まれた植物をパリの植物園に植える前に、ここモンバールにある自分の家でフランスの気候などに馴化させたりしたそうだ。彼の邸宅は博物館になっていて、生前は人をあまり入れなったという『博物誌』36巻を書いた書斎も見学できる。フランソワ=ニコラ・マルチネが描いた鳥の博物誌の挿画、ニュートンの肖像画などが壁に飾られている。
● La Grande Forge de Buffon 21500 Buffon
ビュフォンの製鉄所
7月〜10月オープン。10月は火休。
10h-12h30/14h30-18h。8€/6.5€/12歳未満無料。
Tél : 03.8092.1035
www.grandeforgedebuffon.fr
● Musée et Parc Buffon
ビュフォン博物館と公園
Rue du Parc 21500 MONTBARD
10月〜3月 : 月火休。水〜金 14h-17h、土日 10h-12h / 14h-17h
4月〜9月 : 火休。10h-12h / 14h-18h。
ビュフォン博物館と公園は入場無料(4月から9月はガイド付き見学があり、こちらは有料)
www.musee-parc-buffon.fr
Tél : 03 80 92 50 57 / 50 42
● Office de Tourisme du Montbardois
モンバール観光局
Tél : 03.8092.5381
国鉄Montbard駅前にある観光局。ビュフォンの製鉄所やフォントネー修道院への自転車おすすめルートの地図なども入手できる。
11月~3月:月~土9h-12h30 / 14h-17h30
4月~10月:月~土 9h-13h / 14h-18h
www.ot-montbard.fr
自転車でゆっくり、ブルゴーニュ〈特集2〉
ユネスコ世界遺産フォントネー修道院へ。は10/17(土)に掲載。
ブルゴーニュ・旅の準備
●Bourgogne-Franche-Comté Tourisme
ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ地域圏にはヴェズレーの教会と丘、ヴォーバン設計の要塞群、ル・コルビュジエが設計したロンシャン礼拝堂などユネスコの世界遺産が8ヵ所。世界遺産ではなくても息を呑むほどの美しい村、名城、史跡などが数多い。次はどこへ行こう?
www.bourgognefranchecomte.com
● TGV ou TER + vélo
ブルゴーニュの主要都市Dijonへはパリ・リヨン駅からTGVで1時間40分。パリ・ベルシー駅からはTERがあり3時間ほどかかるが、自転車を持ち込める。今回の出発地点となったMontbardはその手前。TGVなら約1時間、TERなら2時間40分ほど。www.oui.sncf
● France vélo TOURISME
ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ地域圏の、のべ1700kmにおよぶサイクリングコース案内。銘酒街道コース、サントル運河コース他。ブルゴーニュだけでも700kmの自転車レーンが敷かれている。www.francevelotourisme.com/destinations/bourgogne-franche-comte-a-velo
● Vélibourgogne
ブルゴーニュ運河沿いには 「乗捨てレンタル」システムがあるから、借りた場所に戻って返さなくてもよく便利。運河沿いのMigennes、Tonnerre、Ancy le Franc、Montbard、Pont de Pany、Dijonの観光局または営業所で借りたり返したりできる。以下リスト。
www.velibourgogne.fr/velistations
*小さな町だとCovid-19で営業所が開いてなかったり、営業時間が限られたり台数が少ないこともある。オフシーズンは要注意。借りる時は出発の48hくらい前にサイトで出発と到着の地点、日付、自転車のサイズなどを記入して予約をする。自転車につけるバッグなどもある。
Vélibourgogne Tél : 03.8646.2499
www.velibourgogne.fr
「自転車でゆっくりブルゴーニュ」特集、一部からお送りします(郵送料をご負担いただいております)。こちらのページからお申し込みください。
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今回、特集の取材で立ち寄った「フランスの最も美しい町」フラヴィニーので作らているアニス飴。おなじみの缶をデザインしたマグネットとキーホルダー、5種フレーバー・セットをプレゼント。住所とお名前をご記入の上、ご応募下さい。(*プレゼントの応募は終了いたしました。)