バルバラ没後20年。彼女に捧げるコンサートや、ザジなど13人の女性歌手がバルバラを歌うアルバム、アレクサンドル・タローによるピアノ編曲盤、パトリック・ブリュエルの聴くに堪えないバルバラ集ビデオなど、この一年ちょっとしたブーム。
でもバルバラの歌はバラバラで聴くしかない! 一つ一つの言葉に深い意味がひそむ歌詞、独特のメロディー、そこから生まれるまれな美しさは、力んで歌えばこわれ、ささやき声では感情が沈んだまま…。
ぼくの愛聴盤は1964年にリリースされた『Barbara chante Barbara』。ベスト盤よりこういうオリジナル盤を聴く方が、バルバラが身近に感じられる。ナントに住んでいた父の死を歌った『Nantes』で「Il pleut sur Nantes…」と歌い出す、声の表情!あこがれに満ちた恋の歌『Pierre』、パリから旅立っていく思いを歌った『Gare de Lyon』…。
これでバルバラの世界にはまってしまったら、『Dis, quand reviendras-tu?』や『Göttingen』、『Le Mal de Vivre』などの名曲が収まっているベスト盤を聴くことにしよう。(真)
Universal/10€前後。