Au Chant du Coq/少年時代の夢を叶えた、 地元密着型パティスリー。

金子美明さん(54歳)

   人生を決めたのは、中学生の頃に書店で手にとったパリのパティスリーガイド。まるで宝石のように美しいお菓子の写真にとりつかれ、パティシエになることを決意した。 日本で職人としての経験を積み、同業者の夫人とともにパリの地を踏む。ラデュレ、プラザ・アテネ、パトリック・ロジェ、そして今も親交の深いアルノー・ラエールの元で働き、多くの技術とレシピを学んだ。しかし、当時はもらえる給与もわずか。経済的な理由から4年の滞在を経て帰国せざるを得なかった。「パリで自分のパティスリーをやれなかったことが、ずっと心残りでした」。

(左写真・手前から)Saint-honoré、Paris-Brest、Narchis。

 日本に戻り、東京・自由が丘で「パリ・セヴェイユ」をオープン。みるみるうちに全国的に知られる人気店となった。開店から10年が経ち20人もの社員を抱える立場になったころ、「守るべきものも多くなったが、今やらないともうチャンスは訪れない」と、パリで店を持つ計画を始めた。パリに来る度に不動産屋を訪れ、70件近くの物件を見たが、どれも条件が合わず断念。諦めかけていたところ、自分の条件にぴったりのベルサイユの物件に出合った。

店名は「雄鶏のなきごえ」。雄鶏はフランスのシンボルでもあります。

Escargot Cannelle (手前)、Kouign Amann(左奥)、Escargot Pistache(右奥)。

 「もともとパリの街中よりも郊外で店をやってみたかったので、直感でここに決めました」。そして、2013年9月に念願のオープン。始めた当初はなかなか客がつかず苦労したという。「住民は保守的で新しい店になかなか興味を持ってくれず、『日本人がどうしてこんな所で店を?』などと言われることもありました」。

しかし徐々に客が増え、6年目を迎えた今では常連がひっきりなしに訪れる、地域で愛される店に。「東京ともパリとも違い、流行に追われず店が続けられるベルサイユは自分に合っていたようです。この場所で、自分らしいお菓子とパンを集中して作っていきたい」。(恵)

店先には1816年から飾られているブーランジュリーの看板が。古くなり煤けていたものを、常連客のアンティーク看板修復師がベルサイユ市に掛け合って許可を取得、修復してくれたのだという。


Au Chant du Coq

Adresse : 98 rue de la Paroisse, 78000 Versailles
TEL : 01.3950. 7909
アクセス : RER Versailles-Château-Rive-Gauche駅 SNCF Versailles Rive-Droite駅
火午後・水休 7h30-13h30/15h30-19h30

 

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