Après Fukushima「脱原発」日本人アーティスト、パリ初の合同展。

桐村茜「Appearane F-19-I」。版画家の桐村さんの、ガイガーカウンターを絵の中に入れ高い数値が出ている作品。

脱原発をテーマに、12人の日本人アーティストが新作を発表した。このテーマでの合同展は、パリでは初めて。「アーティストにはアーティストなりに脱原発への意志を表現することが大事だ」と、この展覧会を発案した彫刻家の小糸淳司さんは言う。3.11が脱原発をテーマにした創作をするきっかけとなった。他の出展者も同様だ。

出展者には1950年代生まれが多い。広島、長崎のルポを子供の頃テレビで見て育った世代だ。それで70年代に原発を国策にした政府のやり方が引っかかっていた、と平川さんは言う。一方、1980年代生まれの澄さんと松下さんは、祖父母の体験を記憶に残し、3.11を生きた。

原発大国のフランスで、これだけの数の脱原発を訴える作品が一堂に集まるのは珍しく、複数のアーティストが放つエネルギーの相乗効果で見応えのある展覧会になっている。小糸さんは、このような展覧会を毎年開きたいと言う。声をかけなかったアーティスト数人から開催を発表してから「参加したかったのに」と後から言われた。今後、人数が増えて大きな展覧会になる可能性がある。福島の記憶は消したくても消えるものではないので、ずっとコミットし続けていきたい、と言う声も出展者から聞かれた。

出展アーティスト数人に動機や作品に込めた思いを語ってもらった。

坂田英三「国破れて、、、」。

「事故後は日本でも脱原発が盛り上がったが、だんだん冷えていったのが不満」と言うのは坂田英三さん。海水と墨で描くことを続けている。乾くと紙の表面で、それまで見えなかった塩粒がキラキラと見えてくる。この技法で、目に見えないが危険な放射能が現れることを象徴的に表現した。海水はノルマンディーの核燃料再処理工場と原発の中間地点の海水を使った。

宮崎洋一「アレゴリー2 アンダーコントロール」

画家の宮崎洋一さんは「この展覧会に賛同することは、徹頭徹尾政治的なことだと思う」。子供がドクロを持って並んでいる。子どもたちは大きな犬に噛まれて血を流している。海の方では原発から火と煙が出ている。核への不安が漂う作品だ。

澄毅「ソレイユ」

2歳の子供がいる写真家の澄毅さん(上)は、写真の一部に切り込みを入れ、広島で被爆した祖父と胎児を表現した(上の作品は別の作品)。「子供のために、こういう作品を残しておきたかった」。福島原発事故で、核の問題は現在から未来にも続いていることを実感し、3年前から被爆者の母を持つ日本舞踊家をパリに招き、自分の作品と合わせた反核イベントも行っている。「今やっておかないと流されていく」という危機感を持っている。

平川滋子「避難区域」

戸外のインスタレーションを多く制作する平川滋子さんは、水位が1メートル上がった時に原発がどれほど水につかるかを地図で表した。ボルドーワイン産地の近くにある原発はほとんど水浸しになる。上の作品は、フランスと近隣国の核施設で事故が起きた場合の85km圏内の「避難区域」を示したもの。核燃料再処理工場、原発、軍事施設など、それぞれの避難区域を、色を変えて地図上に示した。

崎島ゆり子「消え去った幼子」(右)、「明日を想う」(左)。

「原子力の影響は何かを展覧会にきた人に考えてもらいたい」と言う崎島ゆり子さんは、核の事故が起きた後の世界を描いた。右の作品は、子供を背負った母親が水の中を歩いている悲しい場面。左の作品では、メルトダウン後、それでも生き続ける希望の芽生えを描いた。

松下セイ「ピース」(左)、「ブラック」(右)。

松下セイさんの祖母は20歳の時、広島県内で原爆のきのこ雲を見た。松下さんは夏休みに広島の原爆ドームを見てショックを受けた記憶がある。動物を描くことが多い松下さんは、ウサギと猫の集団を、原爆の黒を思って白黒で、あえて可愛らしく描いた。

瀬川剛「デッサン・ヴァリューム:マッシュルームブルース1」

瀬川剛さんは、フィルムに色をつけて間隔をおいて置き、中に物体があるように見える作風が特徴だ。原発事故で放射性物質を吸収したきのこが描かれている。

川辺孝雄「ここには今やくつろぎが」

川辺孝雄さんは真ん中に惑星を思わせる丸い球体を描いた作品を置き、両端には俵屋宗達の風神・雷神と球形を組み合わせた作品を展示した。自然が人間の営みに怒って地球上に異変を起こした後の平穏を表しているかのようだ。

今年ポンピドゥーセンターパリで回顧展を開いた松谷武判さんは、今村昌平の映画「黒い雨」を見た印象から作った作品を展示した。松谷武判「黒い雨」

今年ポンピドゥーセンターパリで回顧展を開いた松谷武判さんは、今村昌平の映画「黒い雨」を見た印象から作った作品を展示した。

安藤榮作「光の蛹(さなぎ)―ライフ」

パリ在住のアーティストに混じって、日本から安藤榮作さんが参加した。いわき市で被災し、アトリエ兼自宅も作品も津波で流され、その後奈良に居を構えた。本展にはドローイングと木彫りの彫刻を組み合わせた作品を出品した。

小糸淳司「化石化した最後の晩餐 « お寿司 »」

小糸さんは、いつもの明るい色彩は使わず、核事故後の最後の晩餐の焼きそば、寿司などを灰色で表現した。食物は化石化し、アンモナイトが付いている。「主張して意思表示することはカッコいいことなんだと思うようになってほしい」と小糸さんは結んだ。(羽)

10月26日(土)まで


Association Culturelle Franco-Japonaise de TENRI 天理日仏文化協会

Adresse : 8-12 rue Bertin Poirée, 75001 Paris , FRANCE
TEL : Tél : 01 44 76 06 06 / Fax : 01 44 76 06 13
アクセス : Châtelet
URL : www.tenri-paris.com/index.html
月12h-20h / 火〜金 10h-20h /土 10h - 18h30 Accueil : lundi - vendredi de 12h à 19h / samedi de 12h à 18h30

 

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