Anna-Eva Bergman. Voyage vers l’intérieur
スウェーデンで生まれ、ノルウェーとフランスの国籍を持つアンナ=エヴァ・ベルイマン(1909-87)、フランス初の大回顧展。業績を残しても注目度が低かった女性美術家が近年、大きく取り上げられるようになったが、ベルイマンもその一人。今期のパリで最高級の展覧会の一つであると思う。筆者は彼女の宇宙規模の美の世界に大きなショックを受けた。
ノルウェー、ドイツ、フランスで美術を学び、1929年パリで、夫となる抽象画家のハンス・ハルトゥング(1904-89)に出会った。この頃ベルイマンはまだ具象の世界にいた。抽象画で知られているが、当時の具象の風景画には夢幻的な魅力があり、こちらも忘れ難い。
戦後始めた抽象画では、金銀などの金属箔を表面に載せ、重厚な質感を作った。モチーフである山、湖などの自然や天体が、これ以上シンプルにできないほどの形で大画面に描かれ、極限の美を作り出している。故郷ノルウェーのフィヨルドや、夜中に見える夏の太陽が原風景としてある。自然を観察して抽象に至った画家だ。自ら 「汎神論者」であると言うベルイマンの作品には神秘性と精神性があり、抽象芸術の先駆者となった同じく北欧の画家ヒルマ・アフ・クリントを思い起こさせる。
ハルトゥングとは戦前に一度離婚し、戦後再会して再婚した。二人は1973年、南仏アンティーブにミニマリスト的なアトリエ兼住居を建て、亡くなるまでそこで過ごした。現在は財団が運営する素晴らしい美術館になっている。別の機会に紹介したい*。7/16まで(羽)
*財団のアトリエ兼美術館の記事は後日に掲載予定。
"Anna-Eva Bergman - Voyage vers l'intérieur" Musée d'art moderne de Paris
Adresse : 11 av. du Président Wilson, 75016 ParisURL : https://www.mam.paris.fr
火-日: 10h-18h、 木-21h30。 月休。 15/13€/18歳未満無料。