ホテル=レストラン専門高校の課題のため、ふたりでレストランのプロジェクトを考えたのが元になった。「ジョナタンはロレーヌ地方のガストロノミーに、私は料理の歴史に興味があったので、ロレーヌ美食の歴史をテーマにした店を考えたんです」と料理長イヴァンさん(写真左)。スタニスラス公を中心に据えた店の計画は現実となり、2002年にオープンした。
メニューを開くと各品に印がついている。ここロレーヌ地方の料理にはロレーヌ十字、スタニスラフ公出身のポーランドの料理にはワシ印、フランス料理にはユリの花印。
この日の前菜はピロシキ(ポ)、ブシェ・ア・ラ・レーヌ(仏)、マッシュルームの詰め物(ロ)。主菜には鴨のヒレにイチジクの赤ワインコンフィ(仏)、スズキのポワレにビーツのソース(ポ)、豚のフィレミニョン(ロ)。ロレーヌ十字のついたマッシュルームと豚フィレミニョンを頼んだが、ポークの焼き加減がロゼでとろけるようだ。ロレーヌ地方では燻製肉を使うことが多いというが(キッシュ・ロレーヌも)アクセント的に、詰め物にもラルドンが使われていた。
ポーランド王の座を奪われ、ロレーヌ公になったスタニスラス公は何を食べていたのか。20年前、ふたりは、図書館や古文書館で文献を探し、公の執事だったジョゼフ・ジリエが菓子レシピや食材、調理技術、道具などを事典にした『Le Cannameliste français』(初版1751年)を参考にした。今でもこの本を開いては、新しい料理に挑戦したりするそうだ。 (六)
A la table du Bon Roi Stanislas
Adresse : 7 rue Gustave Simon, 54000 NancyTEL : 03.8335.3652
URL : https://www.latabledestan.com
前菜+主菜+デザート46€ (+チーズ54€)