企業や団体が「環境に良い持続可能なことをしている」と公言しながら、それが誇大広告であったり、裏では逆のことをしていることを「グリーンウォッシング greenwashing」という。
オーストリアのヴェルナー・ボーテ監督は、ドイツ人の作家でジャーナリストのカトリン・ハートマンを誘い、猫も杓子も持続可能性を語るようになった今、企業と消費者の行動は本当にグリーンなのかを問う旅に出て、ドキュメンタリー「L’illusion verte 緑の幻想」を作った。
ウィーンでは、「持続可能な企業賞」の受賞を自社のPRに使い、利益を上げている企業家に出会う。世界一のパーム油生産国のインドネシアで会った現地の環境活動家から、焼けた熱帯雨林を見せられ呆然とする2人は、その土地で栽培されたパーム油が「持続可能なパーム油」認証でヨーロッパに輸出されていることを知る。アメリカで会った大学教授は、「個人が環境に配慮して暮らせば世界が変わるというのは幻想だ」と説く。
映画の後半では、グローバリゼーションに早くから警鐘を鳴らしていたノーム・チョムスキーが、これからの企業のあり方を提案する。ちょっと能天気なボーテと鋭いハートマンは、ボケとツッコミのような絶妙なコンビだ。ユーモアがあるおかげで、上から目線ではない啓発映画になった。2月13日公開。(羽)