〈モントルイユの呼びかけ〉全国で討論。
3月26日、パリ郊外モントルイユ市の劇場で、国の文化政策に異議を唱える 「モントルイユの呼びかけ」の夕べが開催された。文化省が昨年11月に発表した2022年までの文化政策「CAP2022」の内容を知った市の文化担当助役、アレクシ・ロルカさんが重大なことが起きると危機感を抱いたのがきっかけだった。 たとえば国の古文書館に収める資料は「基本的なものだけに絞る」と書いてある。「つまり、集めない資料もあるということ。歴史にとって大きな損失になる」とロルカさんは言う。「特に心配なのが演劇などのスペクタクル。地元議員が演目の決定に発言権を持つと言っている」。私利私欲が入ったり、政治的意図から外される演目もあり得る。文化の独立性が失われかねない。「(国の負担を軽減するために)国立美術館の管理を自治体に任せると言っています。これも心配」。2017年12月からこの「呼びかけ」への署名を集め始め、3月26日の時点で11000筆が集まった。これからはフランス全土で討論会をしていく。5月はカンヌの近くで開催される映画祭ビジョン・ソシアルに、6月は演劇祭に合わせてアヴィニョンに行く。呼びかける人が「こうしよう」、と提案するのではなく、討論をしながら、市民がオルタナティブを考えていく運動だ。(羽)