1856年にドイツのネアンデル谷(タール)で頭蓋骨が発見されたことから命名されたネアンデルタール人。額が後ろに傾いており、顎が小さいという頭の特徴から、人種を階級に分けた19世紀に「プリミティフ」「動物的」などと言われなき差別を受けた。今でも続くその偏見を覆すのが本展だ。
35万年前から生存し、3万年前に消滅した。コミッショナーで研究者のマリレーヌ・パトゥ・マティスさんは「男が狩猟、女は住居の近くで働いたというのは間違い。年齢、性別にかかわらず、同じ仕事を分かち合った」と言う。そのため、女性も筋肉が発達していた。埋葬を行い、カビに抗生物質のペニシリンがあることや植物の消炎作用を知っており、楊枝で歯の手入れをしていた点は現代人と変わらない。
最後の展示室に等身大で再現されたネアンデルタール女性がアニエス・ベーの服を着て立っている(写真)。道ですれちがってもネアンデルタール人とはわからないだろう。急にこの人たちが身近になった。(羽)
2019年1月7日(月)まで 火休