今年末にかけて生命倫理法(Loi sur la bioéthique)が見直される。その討議を前に週刊誌L’OBSが世論調査会社BVAと行った調査で、代理母出産の許可や人工授精・体外受精の対象者拡大に、賛成が初めて反対を上回った。
現行法では、代理母出産(Gestation pour autrui:GPA )は禁止されている。人工受精や体外受精、ドナーからの卵子や精子の提供など、医学的な処置を経た生殖(Procréation médicalement assistée:PMA)は、結婚して2年以上の男女で、どちらかに医学的な不妊症が認められる場合か、自然妊娠では病気が遺伝する可能性がある場合に限られる。卵子の冷凍保存も禁止。卵子や精子の提供は、無償で匿名であることが定められている。
インターネットを通じて約1000人を対象に行われた同誌の調査では、代理母出産は、異性カップルと同性カップルに無条件で許可することに賛成と答えた人が32%。医学的理由のある異性カップルのみが15%。次いで異性カップルのみに無条件で許可が3%などで、無条件または条件付きで許可することに賛成する人は、合計で55%に上った。2013年には39%のみが賛成していた。
またPMAを、女性のカップルにも許可することに賛成する人は58%、独身女性にも許可することに賛成する人は56%だった。卵子の冷凍保存については、全面的に賛成が23%、どちらかというと賛成が39%で、合計62%が賛成した。
同誌は、法改正に直接関係する国民の声も掲載。そのうち45歳の女性は、胎児だった時に母親に処方された薬の副作用で子宮に問題があった。8年間、数多くの人工受精や体外授精を行ったが失敗。最終的にアメリカで代理母により娘を授かったが、フランスでは娘が自分の実の子供とは認知されておらず、法改正を求めている。
だが、法の緩和には慎重な見方も多い。PMA専門の医師は、代理母出産について、他人の体を自分の目的に使うことや、体を使った商業は超えてはならない一線だと主張。その上で、代理母よりもPMAの成功率向上や不妊症の予防に努めるべきだとした。
政府は代理母出産は禁止のまま、PMAは女性カップルと独身女性に拡大させたい考え。政府は生命倫理法三部会(États généraux de la bioéthique*)というサイトを立ち上げ、国民から意見を募っている。(重)
*https://etatsgenerauxdelabioethique.fr/