アメリカではメキシコとの間に壁を造ると大統領が言い、仏教徒が大多数のミャンマーではイスラム教徒の少数民族の虐殺が続いている。人類博物館で開催中の「私たちとほかの人たち Nous et les autres」を見ると、人種差別とは何かを考えさせられる。
差別の源には「人を分類する」ことがある。入場者は、街ですれ違う人たちを肌の色や服装から分類していることを大画面を見ながら体験する。次は、何気なく相手に言った言葉が、実はあるカテゴリーの人々へのステレオタイプな見方を反映したものであることを知らせるコーナー。入場者にそうした言葉が向けられ、自分が言われたときにどう感じるかを体験させる。アメリカの黒人差別などを短いビデオで知るコーナーもある。テレビの報道番組を見せて、マスコミが先入観で仕事をしていることを解説するコーナーは目からウロコの面白さ。「郊外団地の取材のときは、郊外のイメージ通りのクセのあるフランス語を話す人を選んでいます」と解説者は言う。会場の終わりにあるフランスの差別の実態の統計では、移民の子の93%が自分はフランス人であると思っているが、その24%は「自分はフランス人とみなされていない」と感じているという。
フランスの法律は、表現の自由を悪用した人種差別的な言動を厳しく罰している。子どもも含め、多くの人に見てもらいたい展覧会だ。来年1月8日まで開催。(羽)