ヴォー= ル=ヴィコント城
パリから南東へ55キロのヴォー=ル=ヴィコント城。ただの壮麗な古城かと思ったら大間違い。興味深いエピソードの宝庫で、ルイ14世時代のフランス史を習った子供と一緒に楽しめるはず。入り口では中世の衣装が安価でレンタルできる。親子で貴族コスプレの見学も楽しそうだ。
初代の城主は38歳で大蔵卿となった敏腕政治家ニコラ・フーケ。芸術の庇護者で具眼の士でもあった彼は、建築家のルイ・ル・ヴォー、画家で装飾家のシャルル・ル・ブラン、造園家のアンドレ・ル・ノートルの三大巨匠を呼び集め、素晴らしい城を完成させた。1661年8月17日、若きルイ14世に敬意を表するため、ここで贅を尽くしたダンスパーティを催す。バロック様式の城は輝くばかりの調度品や美術品が置かれた。宴は宮廷料理人ヴァテールが腕を振るい、売れっ子のモリエールが新作の喜劇を上演。フランス式庭園では華やかに花火が打ち上げられたという。だがこの豪華さが太陽王の嫉妬を買う。数週間後にフーケは失脚させられ、牢獄送りとなるのだ。いつの時代も妬みそねみは恐ろしい。その後、ルイ14世はフーケのアイデアをちゃっかり拝借し、自分の宮殿のため同じ三大巨匠を登用する。だからこの城はヴェルサイユ宮殿のアイデアの源と言える。
城の現オーナーは砂糖精製業で財を成したソミエ家の子孫。1968年から一般公開され、今は五代目にあたる三人息子が、城の修復やイベント開発に力を注ぐ。最近はル・ノートルによって迂回させられた地下水路跡を辿るアクティヴィティも新たに加わった。9月23日からは映画に関する企画展も開催予定。ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』やディカプリオの『仮面の男』もここが撮影地なのだ。(瑞)
Château de Vaux-le-Vicomte
パリ東駅からP線でProvins行きに乗り、Verneuil l’Etang駅 (Navigoのゾーン5内)下車。
有料の専用シャトルバスが城まで行く。
往復で大人10€/子供 (18歳未満)5€。
2017年11月5日までは無休 10h-19h。
(城の入場は17h15まで。ただし10月7日まで毎土曜は夜間イベント 「ロウソクの夕べ」があるため閉館は24h)。
2017年11月25日~2018年1月7日は、週末と学校バカンス時期のみ開館。
11h-19h (城の入場は18hまで)、
2017年11月6日~11月24日は閉館。
大人15.50€/学生13.50€/6歳~17歳10€/5歳以下は無料。
中世の衣装レンタル 大人6€/子供4€。
ドーム (展望台)見学 (身長1m30以上から)3€。