生い茂る草木、土から顔を出す野菜、平和な目をした家畜…。「ここがパリ?」と驚くが、住所上はパリ12区。ヴァンセンヌの森南方に広がる「パリ農場」だ。
農場の歴史は意外と古い。発祥は1860年に農学者ジョルジュ・ヴィルが化学肥料と土の関係について研究するために作った農場。後にパリ市の管轄となり、1989年から市民も見学可能に。現在は自然との共生を目指しながら市民に農業と環境問題への関心を促す、入場無料の教育農場となっている。
敷地内には農場でおなじみの動物が勢揃い。干し草が積まれた家畜小屋をのぞくと、羊や山羊が並んでフガフガ音を立て食事中だった。時おりその中のいたずらっ子が 「遊ぼうよ」と言いたげに顔を出すのも可愛らしい。牧草地では茶色の模様がお洒落な牛さんカップルも日向ぼっこ中。他にも豚やウサギ、アヒル、鴨、七面鳥、鶏などがいる。幸せそうな家畜たちを前にすると、 「笑う牛」やラ・フォンテーヌ寓話のイラストで知られるバンジャマン・ラビエのイキイキとした動物を思い出す。
菜園は多種多様な有機栽培の野菜や香草、薬草の宝庫。葉っぱを触ったり匂いをかいで、子どもと何の野菜か当てっこするのも楽しそう。例えば花が落ちた向日葵を思わす背の高い謎の植物は何かと思ったら、正体はトピナンブール(菊芋)。「今はビオの店にもあって良いイメージだけど、食糧不足の戦時はみんなうんざりしながら食べていたんだよ」と、通りすがりのおじさまが教えてくれた。スーパーの野菜しか知らない現代っ子には、ありのままの野菜の姿を知る貴重な機会にもなるだろう。(瑞)
La Ferme de Paris
Bois de Vincennes - 1 route du Pesage 12e
入場料無料
夏のバカンス期は火~金13h30-17h30、土・日13h30-18h30、月休
バカンス期以外は週末のみオープン
9月は土・日13h30-18h30、10月は土・日13h30-17h30、11月~2月は土・日13h30-17h00、その他の時期の詳細は随時サイトで確認
http://equipement.paris.fr/ferme-de-paris-6597
RER A線Joinville-le-Pont下車徒歩20分、または、地下鉄1番線Château deVincennesから
112番線バスに乗り、Carrefour de Beauté駅
下車徒歩15分。ヴァンセンヌ競馬場のとなり
(パリ市のサイトには地下鉄Bérault駅下車とあるが、ここから歩くと1時間以上かかるので注意!基本的に車や自転車が便利)