Sentierの界隈は昔からユダヤ系の繊維業者が多いことで有名だ。近年は洒落たカフェやビストロにワインバーが後を絶たない中で、スノッブな雰囲気など微塵もない昔ながらの佇まいは、国籍を問わず誰からも愛されている。それはやはり店主のハリーさんの人柄にほかならない。
「よく来たね」と笑顔で迎え、「またおいでね」と送り出す。ハリーさんのおうちにふらっとやって来て手料理をいただいて帰っていく、そんな温かさ。だから朝のコーヒーやお茶を飲みに来る客、昼ご飯を食べに来る客、日中お茶を飲みながら店の奥でカード遊びに耽る客と、常に人がいて、それぞれがくつろいでいる。
料理はもちろん全て手づくり。立派なツナの身、クミン風味のニンジン、ウイキョウのマリネ、ジャガイモにトマトにキュウリ、タマネギの甘さがまろやかな赤ピーマンとトマトの絶品メシュイヤ(焼いた野菜のサラダ)、マイルドな辛さの自家製ハリッサ、酸味の利いた青トウガラシ、オリーブにケッパー、そしてポーチドエッグ。それらがてんこ盛りになったassiette tunisienne(9€)は、綺麗に盛られたそれぞれをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせて食べるのがお約束。バランスよく、おなかもしっかり満たされる。定評あるパンにそれらを詰め込んだサンドイッチバージョン(7€)もおすすめだ。水曜日はschnitzelと呼ばれるチキンカツや、金曜日はboulettes de Shabbat(安息日のミートボール)の他、その時々の日替わりメニューも試したい。そして食後はやっぱりミントティー(2.5€)で気持ちよくしめたいところ。
ようやく本格的に夏らしい天気が訪れたパリ。暑さに慣れていない体は少し疲れ気味。そんな時はユダヤ系チュニジア料理でバランスよく野菜を摂ろう。シンプルで栄養があって、そして美味しい。おまけに異国情緒も楽しめるから一石二鳥というもの。地中海はチュニジアに旅に出て、ハリーさんのおうちにお邪魔した、そんな素敵な体験が味わえる。Bonnes Vacances !!!(み)
Au Déjeuneur - Chez Harry
Adresse : 15 rue des Jeuneurs, 75002 ParisTEL : 01.4236.3003
アクセス : M° Sentier/Bonne Nouvelle
火〜金 8h-16h 土日休 CB不可。