Pot au feu
この号の特集は「スープ」だけれど、牛肉を、長ネギ、ニンジン、カブなどと煮込んだポトフのブイヨンが一番だ、とフランス人は胸を張るだろう。そのブイヨンを味わいたいばかりに、ポトフを作る人だっているくるらいだ。体が芯から冷えてしまいそうな寒い日に無性に食べたくなる一品だ。
牛肉は、ゼラチン質や脂身が適度に混じった肩肉macreuse/paleronやスネ肉gîteなど、好みのところを4人分として1キロ買ってくる。肉屋さんは真ん中に髄の入った骨も付けてくれるはずだ。肉と骨をまとめて結わえ、圧力鍋に入れ、ヒタヒタに水を張って、火にかける。普通の大鍋の方がいいと主張する人も多いが、時間は倍かかる。沸騰してきたら丹念にアクをとるのが、澄んだスープを作るコツだ。
セロリも入っているブーケ・ガルニ、丁字を1本刺したタマネギ1個、塩大さじ半杯、粒コショウ適量を加え、フタをして圧力をかける。シュッシュッと湯気が出始めたら火を弱火に落とす。1時間ほどたったら、圧力を抜いてフタを開ける。普通の鍋ならここまで2時間。ニンジン4本、カブ4個を丸のままか大きく切り分けて加える。長ネギは白い部分を使うが、ポトフには太めの長ネギがいい。4本、バラバラになって散らばらないように結わえてから加える。ポテと呼ばれる豚肉の煮込みと違ってキャベツは加えない。再沸騰したら弱火にし、フタをしてもう1時間ほど煮ていく。ジャガイモは煮くずれしてブイヨンを濁らせてしまうので、別にゆで上げてから、最後に加える方が無難だ。
ポトフの味わい方もお好みだが、わが家では最初に肉と野菜のうま味がこん然一体となったスープをふ~ふ~いいながら味わう。次は湯気を立てている肉と野菜。肉は適当な大きさに切り分ける。マスタードや粗塩を忘れずに添えたい。大した量がない骨の髄はどうしても取り合いになってしまうけれど、パンにのせて、粗塩少々を振って味わうと絶品!
ワインは、出回り始めたボージョレ・ヌーヴォーにしてみよう。(真)
煮込み用牛肉1キロ、ニンジン4本、カブ4個、長ネギ4本、タマネギ1個、ジャガイモ6個、セロリ入りブーケ・ガルニ、丁字1本、塩、コショウ