ロシアの圧力を逃れパリに亡命していたポーランド人コミュニティーの中で、中心的な役割を果たしていた詩人アダム・マンケヴィチが提案して、1838年に創設されたポーランド図書館。当時の文化人たちが意見や情報を交換する場で、1831年からパリに住み着いたショパンの姿もその中にあったという。2010年はショパン生誕200年にあたるため、ここでもショパンとゆかりのある数々のイベントが企画されている。
私が娘に見せたかったのは小さなサロン。ヴァンドーム広場の最後の住まいでショパンが死の直前まで使っていた肘掛け椅子、小さなグランドピアノ、娘は「気持ち悪い!」と言ったけれど、ショパンの死後にとられたデスマスクや手(型をとって石膏を流したもの)、暖炉にはスミレの花束が置かれている。ショパンは演奏に招かれるたびに、婦人たちにすみれの花束を贈っていたとか、手をとても大切にし毎日手袋を新しいものに取り替えたとか、死の直後にとられたデスマスクは苦しんだ跡がありありと見えたため、死を看取った妹が少し時間を置いて別のマスクをとらせたとか…案内してくれたアンナさんの説明にうなずきながら見学は続く。隣の大きなサロンには、ショパンが愛したプレイエル社のピアノ。「ショパンも弾いたことがあるんです」とアンナさん。音楽博物館に展示されているショパンのピアノよりも、サロンという雰囲気の中に展示されたピアノのほうに感動を覚えるのは私だけではないはず。(海)
Bibliothèque Polonaise-
Société Historique et Littéraire Polonaise :
6 quai d’Orléans 4e 01.5542.8383
www.bibliotheque-polonaise-paris-ship.fr
ガイド付きの見学:火-金14h/15h/16h/17h、土10h/11h/12h/14h/15h/16h。
5€(ガイド付き+2€)、18歳未満無料。