植物園のオーステルリッツ駅側の入り口に一番近いこの博物館は、1898年に一般へ門戸を開いた。地上階部分が比較解剖学、上階が古生物学で構成されている。比較解剖学とは、哺乳類、霊長類などの動物と人間を比較し、類似する部分や異なる部分について研究する学問で、フランスでは18-19世紀の学者ジョルジュ・キュヴィエが先駆者だといわれている。陳列室に入るとまず目に入るのは真ん中にずらりと並ぶたくさんの動物の骸骨たち。「わーっ!」思わず娘も私も声をあげる。骸骨たちを取り囲むように設置された展示コーナーの最初では、動物の運動に関係する骨が並べられている。「脚のこの骨が跳躍に使われているのね」。「見て! カエルの骨、小さいよ!」。動物の大きさが違えば骨のサイズもおのずと異なってくる。
次のコーナーは臓器の展示、心臓や胃、そして膀胱など約2世紀前にホルマリン漬けになった臓器たちの保存状態がよいことに母娘で驚く。「植物園の動物園にいる動物たちが解剖されたの? 可哀想」。えーっ!? いや、必ずしも動物園の動物たちとは限らないし、動物園(開園は1794年)は動物たちの運動や行動を観察する研究と保護施設なのだと娘に説明する。巨大なクジラ、珍しいのではオカピやシーラカンスの骸骨など展示物をひとつひとつ丁寧に見たのでずいぶんと時間が経った。上階の古生物学ギャラリーに行こうとしたら「あと10分で閉館。チケットは3カ月有効なのでまた来てください」と係員に教えられる。というわけで、古生物部門と動物園は次の来園の時に。(海)
Galeries d’Anatomie comparée
et de Paléontologie : 2 rue Buffon 5e
www.mnhn.fr
月-金10h-17h、土日祝10h-18h。火休。
6.8€(26歳以下無料)。