●FEMIS監督科の畑明広さん
アラン・レネ、パトリス・ルコント、フランソワ・オゾン、彼らの共通点は?答えは同じ映画学校の出身者であること。国立映画学校FEMIS(85年まではIDHEC)は60年以上にわたり映画界を代表する才能を輩出してきた。現在その名門校に日本人の名前が見い出せる。畑明広さんは監督科の最終学年に籍を置く25歳。卒業制作の仕上げに追われる彼に話を伺った。
卒業制作のテーマは?
8月に2週間で卒業制作の映画を撮りました。パリの旅行代理店で働く50代のバスガイドが主役。日本を切り捨てパリで歩み始めて30年経つけれど結局は一人という男性です。彼の前には観光客、蘇る思い出、おそらくは過去の恋人などが現れては消えていく。僕はいつも「この世界や社会で存在するとはどういうことか?」がテーマです。
FEMISで得たものは何ですか?
まずは経験。FEMISはプロの世界にいたら時間がかかることを4年で凝縮してやります。その分カリキュラムはキツい。次のプロジェクトをやっている時に前のが終ってないとか。みんな頑張ってるけど、息詰まっている感が作品に出てるかも。もっと時間があればとも思うけど「経験が大事」という学校の考えは間違ってないと思います。
卒業後は?
フランスで基盤を作りたい。日本にはいつでも帰れるけれど戻ってくるのは大変かと。もう少しできるところまではここでやってみようと思ってます。
フェミスを目指す人へのアドバイスは?
勉強として準備できるのは語学から。監督志望ならやりたいことを伝えられなければ始まらない。またフランス特有の映画のアプローチを理解するのも大事。フェミスはアカデミックな場所でもあるしそれをどう取り込むか。それが合わないと思う人には向かないでしょう。
(聞き手:瑞)
*11月1日14時よりパリ郊外アルクイユのLes Écrans Documentaires映画祭で彼の昨年度の作品『Hana No Miyako』が上映。www.lesecransdocumentaires.org/