201億ユーロ
政府の発表によると、2009年度の社会保険の赤字は201億ユーロに達する見通し。2008年度の赤字102億ユーロの倍額に近い記録的な赤字! その主な原因は失業者数が増加の一途をたどり、就労者から入ってくる社会保険料が急激に減ることとされている。この赤字に対し、バシュロ厚生相は社会保険負担率の引き上げ、所得税の引き上げはないとしている。
60歳→67歳?
現行の法律では、フランスでは就労者は60歳で定年退職ができる*。オルトフ労働相は、この膨大な赤字を解消するために、保険料の払い込み期間を延長し、定年退職の年齢を67歳に引き上げることも検討すべきだと発言した。
*イタリア:58歳、スウェーデン:61歳、ハンガリー:62歳、ベルギー:65歳、スペイン:65歳、ポルトガル:65歳、英国・ドイツ:男65歳/女60歳、デンマーク:67歳…
1051ユーロ
オルトフ労働相は、7月1日より最低賃金SMICを1.3%引き上げると発表。週35時間労働の場合、手取り月1051€となり、13.47€のアップとなる。昨年は5月に2.3%、そして7月にも0.9%アップされただけに、労働組合などから強い不満の声が上がっている。
「最低賃金は貧困対策の効果的な手段とはいえない。フランスは最低賃金額が一番高い国の一つに数えられる。この数年の最低賃金の大幅なアップが、賃金格差の幅を狭め、働いてもそんなに賃金が上昇しないなら、と労働意欲をそぐ結果になっている」
ジルベール・セット経済学教授。
「最低賃金を上げると新たな雇用にブレーキがかかるというのは、リーガンやサッチャー時代の考え方で、現在の不景気に対応していない。最低賃金を引き上げて低所得者層の消費を活性化することが望ましい。(…)労働者の平均生産性を尺度にすると、現在の最低賃金は、60年前に最低賃金制が施行されて以来、最低のレベルだ。20%アップしても、1970年の水準にやっと到達できるくらいなのだ」
経済学者ピエール・コンシアルディ。