この1カ月以上にわたってテレビのニュースをにぎわせた人物といえば、海外県グアドループのゼネストの先頭に立っていたエリ・ドモタLKP代表(42)。彼は、UGTTG(グアドループで一番強い力を持つ労働組合)事務局長ならではの組織力を発揮して、他の労働組合、政治組織、文化・市民団体をLKPの旗の下に結束させることに成功した。また一般の人にもわかりやすい説得力のある演説でヒーロー的存在に。
グアドループの経営者側は、ドモタ氏が根っからの白人嫌いで、独立主義者であると批判するが、ドモタ氏は「県行政の責任者はすべて本土からやって来た白人の官僚であり、島の経済を支配しているのは、昔奴隷をこき使っていた白人の子孫、ベケである」と反論する。ゼネスト当初、ドモタ氏は「本土から多数の憲兵が送りこまれたが、今また、フランス国家は同じ道を選んだのだ。グアドループ人を殺すことを」と扇動的とも思える発言をして批判を浴びた。彼が着ている赤いTシャツには「mé 1802, mé 67」、と記されているが、これには、1802年5月にナポレオンが奴隷制を復活させたこと、1967年5月に社会変革や独立を求めるデモが弾圧されて50人近い(100人以上という数字もある)死者が出たことを忘れないようにという、はっきりとした政治的な意味がこめられているようだ。
ドモタ氏は、グアドループ国立雇用センターANPEの責任者として、若者の50%以上が失業者という現実とも直面している。(真)