春、公園、温室、競馬場へくりだそう。
郊外との境界ならではの広さを満喫。
パリと郊外との境界にあるポルト・ドートゥイユ駅 (10号線)。オートゥイユという地名は、ここが以前、Altogilumという名の小さな村だったことに由来する。パリに仲間入りしたのは1860年のことだそうだ。
ちょっと足をのばせば郊外ということもあって、この界隈には、広さを存分に利用したご立派なお屋敷をはじめ、公園や競馬場、競技場も多い。道幅も広いので、目的地までかなり歩くことを強いられてしまうが、天気がよければ散歩がてらのんびり歩いて季節を感じるのもいいだろう。
メトロの駅を出るとすぐ目の前が障害レース専門のオートゥイユ競馬場。日曜日には子供教室やポニー乗馬、場内見学もできるので家族連れも楽しく過ごせる。
競馬がない日ならがっかりせず、オートゥイユ温室公園へ行こう。競馬場の向かいにある〈詩人公園〉の入り口から入って、ゆっくりと道なりに歩いてゆくのがいい。まずは一番大きな温室へ。池には大きな鯉が泳ぎ、インコやカナリアがさえずり、ヤシやバナナの木が鎮座まします天国のような眺めにホーッとため息をつく。テーマごとに区切られた温室では、サトウキビやコショウ、ケッパーなど食料になる植物たちの本来の姿が面白い。
温室公園の隣は、ローランギャロス競技場だ。トーナメントの開催期間でなくても、2003年オープンのテニス博物館「テニシウム」を見学したり、クラブハウス風のレストランでリッチに過ごしたりできる。テニシウムは、地下の2200平方メートルの広さに、テニスに関する膨大な資料を集め、マルチメディアを駆使した近代的な博物館だ。
16区という土地柄か、周辺には素敵なレストランも多く贅沢を満喫するのもいい。庶民派なら、パリ市内唯一のハイパーマーケット〈カルフール〉へ。日替りのセール商品は激安だが、いきおい余ってあれもこれもと買いすぎないようにご注意を。(月)