●Jean-Marie GOURIO “Alice dans les livres” 小さいときから本が好きだった人にとって、『不思議の国のアリス』と聞くと、子供のころのこと、子供の時に読み聞かせてもらったり、自分で読んだアリスの冒険が思い浮かぶだろう。あの、まさに「不思議な」世界が思い浮かぶだろう。アリス、白ウサギ、笑い猫、王様、女王様などなど。 本書はかのアリスがもう一人のアリスに会いに来るお話。このもう一人のアリスは病気で寝ている小さな女の子。看病してくれるお父さんは毎日、毎晩、本を読んでくれる。そしてアリスは本の国へ旅をする。本からやってくるアリスも白ウサギと一緒にいろんな本の国を巡る。 10近くある本の国から一例。プルーストの『スワン家の人々』。母親のおやすみのキスに思いをよせるマルセルのベッドに入り込む白ウサギとアリス。アリスはマルセルを不憫におもって…。別の本の中では、アリスは戦争を知る、「恐怖」を知る。こうした国々を経てアリスはアリスに会いに来る。そして「死ぬこと」をしようとするアリスと死んでいくアリスが出会う、そして二人のアリスが出会ったとき…。 久々に感動したフィクションだ。(樫) 「La nuit, dans mon lit, je pense au Lapin blanc. Le Lapin blanc me tient compagnie dans l’ombre. Je suis une petite fille de six ans qui s’appelle Alice et je cours apres le Lapin blanc d’Alice au pays des Merveilles. C’est lui qui m’amenera dans les Merveilles, la-bas. 夜、ベッドで、白ウサギさんのことをかんがえてるの。白ウサギさんは暗いところにもついてきてくれるの。あたしは6さいの女の子。名前はアリス。それで『不思議の国のアリス』の白ウサギを追いかけるの。ウサギさんが連れて行ってくれるの。不思議の国に。向こうに連れて行ってくれるの」(p. 19) |
Julliard, 2006, 144p, 17euros
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