毎年3月に行われる〈Salon du livre〉に合わせて、フランス出版業界の統計が発表されるが、今年もこの業界の好景気が確認された。 フランスで2004年の販売部数は4億5000万部、5万タイトル。販売金額にして25億ユーロ。これは前年比4%の上昇だ。絶対数だけをみると、他のヨーロッパ諸国や日本と比べるとひけをとってしまうが、前年比4%の上昇という数字、そしてここ数年来続いているこの分野の好景気は特記するに値する。 参考までに他の数字をいくつか。日本では、2003年の出版物の推定販売総額は前年比3.6%減、96年以降7年連続の減少。販売部数は4.1%減。 そしてフランスでは、3月15日、2003年の月平均手取り給与(公務員を除く)が、インフレを考慮すると、前年比0.3%低下したと発表された。3月17日、2004年のRmiste(社会復帰のための最低収入手当受給者:独身者には425.40ユーロ)の数が前年比9%上昇し、百万人を超えたと発表された。そして、2005年1月の失業者数が2000年2月以来初めて失業率が10%を超えた。と、不景気とまではいえないだろうが、なんとなく低いところで停滞しているフランス経済全体からみても、出版業界の好調は目立つ。 もちろん、出版業界だけが現在のフランスで元気なのではないだろうが、そのサクセス・ストーリー(!?)からは、きっと日本の出版業界や他の業界を活性化するためのカギがみつかるかもしれない。 読書家からみれば、こうした経済の話はどうでもよいかもしれないが、出版業界が好調であるということは、いろんな本がどんどん出版され、本屋に通うのが楽しくなるということだ。(樫) |
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