地球の上、みんな元気に暮らし、元気に食べよう。
人間の生命を維持する食品は、土から生える植物、その植物をはむ動物、海や川に生きる生物だ。所によっては地中の虫ということもある。のびのび生える植物、健康な動物たちが元気な体を支えてくれる。
かつて、食物は自然のサイクルの中で生産され、すべての生命はやがて土へ帰るという、有機循環が当たり前に繰り返されていた。
しかし、今日の農業、畜産業、漁業ではこの基本的バランスが崩れている。農薬の大量使用。その中には人体に有害なものが多くある。
動物の飼育状況も気になる。成長ホルモン、狂牛病のもととなった肉骨粉などだ。ストレス状態による喧嘩の被害を抑えるため、鶏のくちばしが切り取られているとの報告もある。
これに対して世界各地の生産者や消費者の気持ちは変わりつつある。土地、風土にあった無理のない、自然な農業や飼育法を選ぼうという傾向がある。化学肥料を与えるより、植物のローテーションで土地が痩せるのを防ぎ、動物は太陽と外気、自然な餌が与えられ、病気になっても抗生物質でなくホメオパシーによる治療を受ける。
週に数回、農家の人が売りに来る小さなスタンド。
BIOの市場
全粒粉で作られるギャレット。
チーズ入り、卵入りなどがある。
Bioの野菜は高い …それは将来への投資。
合成化学製品を極力廃した有機、無農薬法をフランスではbioと呼んでいる。(日本では、バイオというと、逆に遺伝子組み換えなどバイオテクノロジーを指す)bioの野菜は確かに値段が高い。農家にとってもコストは高くつく。でも地球をきれいに保ちたいなら仕方のないコスト。それは将来への投資と考えよう。大量生産された野菜と比べておいしさは保証できる。
Bioの野菜が高すぎるなら、季節のもの、土地のものを選ぼう。一般的に、小規模な農家の生産法は自然に近いといえる。マルシェのすみに農家が出店していることもある。また生産地が近いほど新鮮。保存のための処置も少ない。
無農薬野菜から農薬が検出されという報告もあるが、インチキでない限り、これは仕方がない現象だ。土壌から、これまでたまってきた農薬の跡が完全に消えるにはまだまだ時間がかかる。
自分が食べる野菜を育ててみる。
ミニトマト、しそ、ハーブ。もちろん、プランター栽培では大量な収穫は期待できないけど、サラダに彩りを添えたり、パセリが常時あれば何かと便利。しそはなつかしい祖国の味。それに自分が育てた野菜はいとおしい。ありがたくいただきましょう。
宅配野菜という手もある。
農家と提携して定期的に野菜を配達してもらう方法がある。Le companier(01.4560.0830)では契約が結ばれるたびに、200m2の土地がbioに変換される。
Bio 製品はどこで手に入る?
●Bioマルシェ
Marché Raspail 毎週日曜
8h30-13h30
Boulevard des Batignolles
毎週土曜 8h30-13h30
Boulogne: Route de la Reine
第1、第3土曜 8h-14h
●Bio製品を売っているお店
Biocoop:bio 製品を手ごろな価格で販売するチェーン店組織。パリ市内、近郊に200店近くある。05.6234.1037
Canal Bio
300 rue de charenton 12e
46 bis quai de la loire 19e
この他にも、自然食料品店は街角に増えている。Auchan、Monoprixなどスーパーのbio売り場も充実し始めている。
遺伝子組み換え作物はいらない。
遺伝子組み換え作物は、フランス語でOGMという。害虫に強い作物を作るために遺伝子組み換えなどが行われているが、長期にわたって人間、環境に及ぼす影響はまだ解明されていない。
また遺伝子組み換えが施された植物の花粉が風に運ばれ、一般の植物も汚染してしまう。放射能汚染に国境がないのと同じく、望まない人にまで影響が及ぶ。
遺伝子組み換えで種子を作らない作物が登場することにより、種子の所有権が限られた企業に独占されないだろうか。種子は作物が自然に作るものなのに。第三世界の食糧危機を救うという名目を掲げても、貧しい農家がお金を払って種子を買うはめになりかねない。
遺伝子組み換えされた野菜は味が均一だ、とグルメの国、フランスのシェフたちは反対している。
ABラベルを確かめて。
ABラベルで表示された食品は、最低95%自然農業で生産されたことが保証されている。加工、保存の過程においても化学合成物質は極力使わない。
フランスのbioラベルには、ほかにも〈Ecocert〉、〈Ascert〉、〈Qualité France〉がある。
美しくなりたい。
これは女性共通の願い。まず、バランスのとれた食事を心がけよう。特にビタミンA、C、E、そしてセレンと亜鉛は細胞の老化を防ぐ。セレンは穀類(胚芽のついた状態)、豆類、胡麻に多く含まれている。亜鉛は茸類や牡蠣に。
フランス人が好む健康法に胚芽油(huile de germe de ble)を小さじ一杯飲むと一日に必要なビタミンEが確保できる。油を飲むのが気持ち悪いなら、小麦胚芽をそのまま大さじ一杯、朝食時にとってもよい。女性の貧血に効果大。
Commerce équitableってな~に?
フランスで話題になっているシステムで、第三世界の農家と提携し、環境、労働条件、文化的アイデンティティーを守りながら長期的に、質の良い製品を正当な価格で提供できるようにするための契約を結ぶことだ。
経済援助とか救済の観念を越え、生産者と消費者の人間的関係を創るのも目的の一つです。
コーヒー、紅茶、ココア、ミューズリー、ビスケット、ジュース、ジャムなどの製品が手に入る。
*http://www.commercequitable.org