Osso bucco
先日は、娘の16歳の誕生日だったので、肉が大好きな彼女のために、ちょっとぜいたくをしてオッソ・ブッコ。肉屋に行くと、”osso bucco” と表示された、子牛のスネ肉を骨付きのまま輪切りにしたものが売られているから、大きさや厚さにもよるが、4人分として4、5切れ買ってくる。
タマネギ2個、ニンジン2本、パセリの茎2本、ニンニク5片、以上を細かなみじん切りにする。トマ ト中4個は、湯むきしてから種の部分をとりのぞき、さいの目に切っておく。オレンジの皮を幅2センチくらいに4枚むいておく。
スネ肉に軽く塩、コショウをし小麦粉をまぶす。さらに赤いパプリカの粉をまんべんなくまぶしつける。オーブンに入れることができるフタつきのソトゥーズやココットにオリーブ油を多めにとる。中火にかけ、肉を入れる。両面にきれいな焼き色がついたら、とり出し、油が切れるようにグリルの上にでも置いておく。
オーブンの目盛りを180度に合わせ点火。ソトゥーズは洗わず、そこにタマネギ、ニンジン、セロリ、ニンニクを加え、オリーブ油を少々足し、しばらく炒める。ここで白ワインを1カップ加え、1/3くらいになるまで煮詰めたら、トマト、濃縮トマト大さじ2杯、オレンジの皮、タイム4枝を入れ、フォン・ド・ヴォー(なかったらインスタントの粉末を溶いたもの、あるいはただの水でも構わない)を半リットル注ぐ。塩、コショウで味を調える。よく混ぜ合わせ、スネ肉を戻し、沸騰してきたら熱くなっているオーブンに入れて小1時間。途中で何回かひっくり返したい。オーブンがない人は、そのまま弱火で1時間半煮込みます。
肉がすっかり柔らかくなったら、きざみパセリを散らしてでき上がり。おいしい、おいしい骨髄まで味わい尽くしましょう。ワインもぜいたくをして、ブルゴーニュの赤を抜いた。(真)
ポレンタの作り方
オッソ・ブッコのトマト風味ソースを味わうには、トウモロコシの粉を水やスープで煮て練り上げたポレンタがいちばん。最近はあらかじめ加熱してある粉semoule de maïs précuiteが市販されていて、便利。付け合わせなら、4人分で200グラム。パッケージに記してある割合で水を鍋にとり(ふつう800cc)、塩、コショウ。沸騰してきたら、ポレンタの粉を振り入れる。火を弱火に落とし、木のへらでかき混ぜながら3、4分も煮ていくと弾力がでてくる。ここでおろしパルメザンチーズひとつかみとバター大さじ1杯を加えて混ぜ合わせる。これを、硫酸紙papier sulfuriseの上に長方形になるように平らに伸ばす。厚さは2、3センチくらい。冷めて固くなったら、ひし形などに切り分け、フライパンでバター炒め。北イタリアで食べた〈ポレンタ、セープ茸入りクリームソース添え〉が忘れられない。
●フォン・ド・ヴォー fond de veau
子牛の肉や骨から作られるダシのこと。プロの料理には欠かせないものだが、これを作るには、大量の肉と骨が必要で、その上、3、4時間煮込まなければならず、家庭料理のレベルを超えている。というわけで、オヴニーにはフォン・ド・ヴォーを使う料理はほとんど登場しないことになっている。スーパーなどではお湯で溶くだけでいいという、インスタントの粉末も売られているが、味がくどかったりする。そんなときは、トリガラのスープや水で代用すればいい。
●オレンジの皮 zeste d’orange
トマトソースとオレンジの皮の風味は相性がいい。できるだけ表面に防腐処理のされていないオレンジorange non traitéeを使いたい。まず表面をよく洗い、皮むきや小さなナイフで幅1.5~2センチくらいにむけば、zeste d’orange。内側の柔らかく白いところは苦いので、いっしょにむかないように気をつけたい。調理法によって、そのまま、あるいは細くせん切りにしてから加える。デザート用で苦みをすっかりとりたい時は、しばらく湯せんにかけてから使うといい。
●paprika
辛みの少ない、赤や黄色のハンガリー産唐辛子を乾燥させて粉にしたものがパプリカ。スペインでは辛さによって数種のパプリカがあるが、フランスで売られているのは、ほとんどが辛みなしのpaprika doux。柔らかい香りと甘みが特長だ。グラッシュのような煮込み料理、スープ、キャベツの詰め物などに使われる。フレッシュ・チーズやグーダチーズにまぶすのもうまい。香りだけでなく美しい朱色も生かしたい。小瓶入りは割高。朝市などで量り売りのものを100グラムほど(2euros以内) 買って、瓶に入れて密封して保存するのがいい。