Cotes de porc a la charcutiere
フランスで豚肉を使った料理の中でも代表的な一品〈ポークソテー、惣菜屋風ソースsauce charcutiere添え〉は、「パリっ子の食卓」(河出書房新社刊)でも紹介したけれど、作っているうちに、濃縮トマトやマスタードも加わるようになり、一層おいしさが増したような気がする自慢料理。とはいえ、相変わらず、手ごろな材料費で誰にでも簡単にできるごちそうだ。
豚のロース肉côtes de porcを4人分として4枚、骨付きのまま切り分けてもらう。余分な脂身を切り落とし、よくたたいて、両面に塩、コショウ。
フライパンに油とバターをそれぞれ大さじ2杯ずつとり、中火でロース肉を炒める。片面にきれいな焼き色がついたらひっくり返し、もう片面にもきれいな焼き色がついたところで、脇にとります。
肉をとり出した後のフライパンに、それぞれみじんに切った玉ネギ1個とニンニク1片を入れ、透き通るようになるまで炒めたら、白ワイン200ccを加える。ここで強火にし、半分以下になるまで煮詰め、トリガラのスープ(インスタントのスープの素から作ったものでも構わない)200ccを加え、また少々煮詰める。ここで、濃縮トマト大さじ1杯と砂糖少々を加える。沸騰したら弱火にもどし、さらに数分火を通したら、ディジョン産の辛いマスタードを大さじ2杯加え、よく混ぜ合わせる。最後に薄く切った酢漬けのコルニションをたっぷり加え、塩、コショウで味を調え、豚のロース肉を戻し、それが温まったらでき上がり。パセリをたっぷり散らしましょう。
付け合わせは、バターをたっぷり加えた熱々のマッシュポテトしかない。ソースと混ぜ混ぜしながら食べる幸せ! ワインは、コット・デュ・ローヌの赤。(真)
●台所の本|Christian Parra / Mon cochon de la tête aux pieds
バスク地方出身の名シェフ、クリスチャン・パラが、血、内臓、脂、肉と食べ残すところがないといわれる豚を、ある時は伝統に従い、ある時は自在なインスピレーションを生かしながら、みごとに調理。バスク風キッシュ、腎臓のマスタード風味、ホホ肉の赤ワイン煮、豚足と新ジャガのサラダ、バイヨンヌ風ローストポーク、モモ肉のエストラゴン風味…など90点以上のレシピが、わかりやすく紹介されている。ひとつひとつ覚えていきたいところだが、血を5リットルも使うブダンはちょっと無理かなあ。(真)
●コルニション cornichon
コルニションはキュウリの一種で、5センチ前後の時に収穫され、酢漬けにされる。その酢漬け(ピクルス)もコルニションと呼ばれる。八百屋の店頭に生のコルニションが並ぶこともあるが、最近は自家製を作る人が減ってしまったせいか、あまり見かけなくなった。その一方、スーパーには、コショウやコリアンダーの実、エストラゴンの葉などで香りをつけたさまざまな酢漬けが並んでいる。わが家では、小さくてカリッカリッと歯ざわりのいいものに人気がある。ローストビーフ、ソーシソン、ハム、テリーヌ、パテなどを食べる時、コルニションがないとちょっとさびしい。今回のようにきざんでからソースに加えたり、タルタルステーキに添えたりもするし、ミックスサラダに加えるといいアクセントになる。ロシアや東欧産はぐんと大きくて酸味は薄く、少々甘みがある。これは、ウオツカを飲む時に、黒パンと一緒に出てくることになっているが、これもうまい!
●豚のロース肉、côtes de porc
côtes de porc(ロース肉、フィレ肉)は、骨付きのまま塊で売られていたり、骨付きの切り身になっていたり、あるいは骨をとってから、脂身で巻いて糸で結わえられローストできるような形になって売られている。cotes de porcといっても、脂身の多い肩ロースから脂身の少ないフィレ肉まである。好みやレシピにふさわしいところを指定し、肉屋さんにその場でトッーントントンと切り分けてもらうのが一番だ。切り身の骨をとれば、そのままトンカツです。
●台所のフランス語|mise en place
料理が上手な人は、きちんと下ごしらえmise en placeしてから調理にかかります。特に今回のレシピのように素早い仕上げが必要な場合、あらかじめタマネギやコルニション、パセリなどをきざんでおかないと、イザという時に大あわて。