Creme de potiron aux moules
フランスではカボチャpotironは、もっぱらポタージュやグラタンに使われる。日本のカボチャを考えて煮物やテンプラにするとクチャッとして歯ごたえがなくなってつまらない。そこで今回は郷に入れば郷にしたがえで、冬らしいカボチャのクリームスープ。ムール貝も加えてちょっと贅沢な一品にしました。
カボチャを1キロ切り分けてもらって買ってくる。種子のあるフワフワしたところを除いて皮をむく。これを大きめのサイの目に切る。鍋にバターを大サジ2杯とり、中火でカボチャを炒めます。2分たったらみじん切りにしたエシャロット1個を加えもう1分。ここでヒタヒタという感じになるように牛乳約350ccを加える。軽く塩。沸騰したら弱火にしフタをしないで25~30分、牛乳の量が半分くらいになるまで煮詰めていく。
この間にムール貝 (4人分として1キロ) の準備です。ヒゲを引っ張り抜いたら、流水の下で貝と貝をこすり合わせるようにしてよく洗う。底広鍋を強火にかけてムール貝を入れ、みじん切りにしたエシャロット1個とニンニク1 片を加え、白ワイン半カップを注ぎフタをする。口が開き始めたら、上下を大きくかき混ぜ、またフタをしてもう少々。煮すぎると身が固くなるので用心。むき身にする。
カボチャに液状の生クリーム200ccを2回に分けて加えながら、ミキサーにかける。さらに牛乳も加え入れクリームスープ状の濃さにする。これを鍋にとって弱火で温め直し、ナツメグ、コショウ、塩で味を調えます。
ムール貝のむき身をソトゥーズなどにとって弱火にかけ、温め直すのだが、つなぎとしてできあがったばかりのスープを大サジ2杯、サフランひとつまみ、新鮮なコリアンダーの葉を刻んだものを加えて混ぜ合わせる。
熱くしておいたスープ皿にスープをとり、真ん中にムール貝をこんもりとのせれば冬の旬たちが出会う。(真)
●ハーブ・スパイス探検|サフラン safran
料理に美しいオレンジ色と独特の香りをつけてくれるサフランは、スペインなどの地中海料理になくてはならないスパイス。パエリャの色と香りの素ですね。ギリシャ・ローマ時代には染料としても貴重だった。
サフランは、クロッカスと同種のサフランの花のメシベを乾燥させたもの。今でも花を一つ一つ摘んでから、メシベだけをとりのぞいて乾燥させる、という手作業に頼っているので、スパイスの中でも一番高価 (0.5グラム15F前後)。 アラブ食料品店、穀物屋graineterie、スーパーなどで売られている。すでに粉にされているものよりは、en filamentといってメシベの形のままのものの方が香りが強い。魚介類との相性がよく、オリーブ油やニンニク少々とコンビにすると、その香りが生きる。カレーに加えると香りが深くなるし、モロッコではクスクスにトマトをほとんど使わず、このサフランで色と香りをつけることが多い。
●カボチャ potiron
フランスのカボチャは、10キロ以上もありそうな巨大なものが多く、「シンデレラ」の中で魔法使いがカボチャを馬車に変えてしまうという話が納得できる。切り口がつやつやとしていて、できるだけ身が締まっているものを買い求めたい。
●カボチャのグラタン
小さく切り分けたカボチャを10分ほど塩ゆでにし、冷水にさっとひたして熱をとったら、ザルにとり水気を切る。オーブン皿にニンニクをこすりつけて、バターを塗り、カボチャを入れ、全体を覆うようにおろしチーズを振りかけ、さらにオリーブ油も振りかけて、目盛り7 (230度) に合わせて熱くしておいたオーブンに入れて焼けば、おいしいグラタン。
●ムール貝さまざま moules
ムール貝は大きく分けて3種類ある。フランスで一番よく食べられているのが、ジロンド川北部からノルマンディー地方にかけて養殖されているムール・ド・ブショmoules de bouchot。小さめだが、そのオレンジ色がかった身は絶品。稚貝が植え付けられる木のヒゲをくわえているのですぐわかる。エシャロット・白ワイン風味a la mariniere やクリーム風味a la cremeにすることが多い。ディエップ風にビネガーあるいはレモンだけで味を付けるのもあっさりしていてうまい。
オランダ産moules hollandaisesはド・ブショよりやや大きい。ヒゲがないので下準備がずっと簡単。身は白っぽくて深みに欠けるが、その分クセがない、とファンも多い。ド・ブショと同じように調理。ムキ身にしてからフライにして、タルタルソースで食べると、素敵なビールの肴になる。
スペイン産moules espagnolesは一番大きく10センチ近くになる。”plateau de fruits de mer” に入っているムール貝がこれで、生で食べることが多い。さっとゆでてから、貝一枚をはがし、ニンニク、パセリ風味のバターをのせ、パン粉を振りかけてオーブンで焼くと香ばしい。