lapin au vin rouge
ウサギのワイン煮を教えてほしいというメールが寄せられたので、4年ほど前に紹介したレシピをリバイバル。とにかく秋になるとウサギに脂がのっておいしくなるのです。今回はキノコも入れてちょっと贅沢にしました。
ウサギは 六つに切り分けてもらって買ってくる。大きなボールにとって塩、コショウしてから、半リットルくらい赤ワインを注いで漬け込む。みじんに切った玉ネギ1個、 ローリエの葉2、3枚、タイム3枝、オリーブ油少々、あったらコニャックも適量加えます。これで少なくとも半日は置いておきたい。
ココットのような厚鍋にバターをたっぷりとって熱くなったら、ワインをよくぬぐったウサギ を入れる。全体に焼き色がついたら、小麦粉を大サジ2杯振りかける。押しつぶしたニンニクも2片入れる。しばらくしたら、赤ワインの漬け汁を、玉ネギ、ハーブごと加えます。肉がかぶるように水を足し、濃縮トマトを大サジ1杯加え、塩、コショウをして、上下丁寧にかき混ぜる。沸騰したら弱火にし、フタをして煮込んでいくが、45分ほどで柔らかく煮えあがる。サイの目に切ったベーコンなどを入れたらさらに味がよくなる。煮すぎると、肉が骨から離れてバラバラになるので、気をつけること。
ウサギを煮ている間にキノコの準備。生セープ茸があったりしたらベストだけれど、もう旬が過ぎてしまったので、マッシュルームで我慢することにしました。300グラム用意。乾燥セープ茸でもおいしくできます。マッシュルームを丸ごとあるいは半分に切ったら、フライパンで炒めて、軽く塩、コショウ、余分な水気を出しておく。ウサギが煮上がる20分ほど前になったら、このキノコを加えてあとは待つだけ。
お皿に盛りつけてパセリを散らし、付け合わせはゆでジャガかバターライスがいいでしょう。ワインはコクのあるコット・デュ・ローヌの赤がおすすめ。(真)
● cèpes séchés 干しセープ茸
干しセープ茸は、キノコがないときに重宝する食品です。スーパーなどでも見つかるし、100グラム45フラン前後でまだまだ手の届く値段。一回の料理で50g前後が必要。途中で水をかえながらゆっくりと戻し、軽く絞ってから調理する。生のものには及ばないが、なかなかの風味で、今回の料理のように煮込み料理に加えたりするとうまい。ふつう小さく切り分けてから乾燥してある。
● épinards aux cèpes séchés
乾燥セープ茸 (40グラム) を戻しておく。ホウレン草800グラムはよく洗ってからさっと塩ゆでして冷水にとり、水を絞ってから小さく切っておく。フライパンにバターを大サジ2杯とり、みじん切りにしたエシャロット2個とサイの目に切ったベーコン少々を加えて炒める。エシャロットが透明になったら、水気を絞ったセープ茸を加えてしばらく炒め、ホウレン草を加え、全体に火が通ったところで、生クリームをたっぷり加えて混ぜ合わせ、塩、コショウで味を調えればでき上がり。好みでおろしたナツメグ少々を加えてもいい。この一品は友人を招いたときなどの素敵な前菜になるし、オムレツやローストポークなどのつけ合わせにも最適だ。
● 台所のフランス語|lard fume
豚の三枚肉を薫製にした日本でいうベーコンのこと。poitrine fuméeともいう。フランスに来たてのころ、豚肉屋さんで “Un peu de poitrine parfumée (香りのいい胸を少々)” と大声で注文してひんしゅくを買ったことがある。ベーコンエッグにしたり、トリや肉のかたまりなどを包むときは、”En fines tranches, s’il vous plaît” と肉屋さんに頼みます。フランスのbacon (ベコンと発音) はロースに近い部分でずっと脂身が少ない。これはそのままハムのように食べることもできるし、上品なベーコンエッグoeuf au baconにもなる。lard fuméを小さく切ったものはlardonと呼ばれ、これが入ったオムレツはomelette aux lardons、サラダはsalade aux lardons。