Boles de Picolat (カタロニア語です)
今年の夏は、いつものブルターニュ地方を離れて、ペルピニャンから30キロほどスペイン国境に近づいたセレという町に滞在した。もう、ここはカタロニア地方、中年以上の人はカタロニア語で話をしているし、通りの名前もフランス語とカタロニア語で表記されている。そこのお惣菜屋さんで買って食べたカタロニア風肉だんご料理がとてもおいしかった。茸がたっぷり入ったソースが肉の味を引き立てている。おみやげ屋さんで見つけた料理のレシピ絵はがきにその作り方が出ていたので試してみた。
4人分として、牛の挽肉400グラムと豚の挽肉 (三枚肉の部分がうまい) 300グラムを用意する。 これを大きなボールにとり、割りほぐした卵2 個、細かく刻んだニンニク2片を加えて、塩、コショウ。よく練り合わせたら、直径4センチほどのだんごにし、小麦粉をまぶしてから、油できれいな色がつくまで揚げます。カタロニア地方では、もちろんオリーブ油です。
ココットのような厚鍋にオリーブ油をとり、みじん切りにした玉ネギ2個とサイの目に切ったベーコン100グラム ( 脂身が多めに混じり入っている方が、ソースがコッテリとする) を炒めていく。軽く色がついてきたら、小麦粉と濃縮トマトそれぞれ大サジ2杯、水コップ1杯を加えてダマができないように丁寧に混ぜ合わせたら、ごく弱火で10 分ほど火を通す。
ここで、肉だんご、薄く輪切りにしたニンジン1本、あらかじめ水で戻しておいた乾燥セープ茸 (たくさん入れた方がうまい)、種抜きの緑オリーブ150グラムを加える。水をひたひたに加え、塩、コショウ、粉唐辛子とシナモン少々。火を強くし沸騰したら、また弱火に戻し、フタをして45分ほど煮込みます。
付け合わせはライスが一番。ワインは、コット・デュ・ルシオンの赤。(真)
レシピ絵はがき
バカンスの楽しみの一つは、材料や調理法にそれぞれ特徴があるフランス各地の料理を味見すること。そんな味を家に帰って再現してみたい。本屋に行けば、地方料理の本が揃っているが、馬鹿にできないのがレシピ絵はがき。バカンス先のおみやげ店などに、ご自慢料理の美しい写真が印刷された絵はがきが並んでいる。裏に載っている作り方がきちんと書かれているものを選び、僕は2 枚買うことにしている。一枚は料理好きの友人に送り、もう一枚は家に持ち帰って実験。そんな絵はがきが少しずつたまってきたら、額に入れて台所に飾りたい。
●viande hachée 挽き肉
牛肉ならどの肉屋さんでも気軽に挽いてくれるけれど、問題は豚肉。衛生上の見地から、ふつう挽いてくれません。困った。charcuterie では、あらかじめ挽いたものを売っていることもあるけれど、chair à saucisseと表示されているものは、すでに味付けがされていて、その名のごとくソーセージの中身や詰め物、ポピエット用。僕は料理に向きそうなところを買ってきてミキサーで挽いてしまう。ミキサーがない人は、中華街の食料品店で挽いてもらいましょう。
●台所のフランス語|boucherie
フランスでは肉屋は三つに分かれます 。牛、子牛、羊などの肉を売っている店はboucherie (boucher)。豚肉、ハムやソーセージなどの豚肉加工製品、お惣菜などを売る店はcharcuterie (charcutier)。馬肉を売る店はboucherie chevaline。馬肉屋はほかの肉屋が休む月曜日にも店を出して存在価値があったものだが、最近はboucherieに吸収されてずいぶん少なくなった。boucherieは豚肉製品も売るようになってきている。
●ハーブ・スパイス探検|piment
コロンブスが西インド諸島から持ち帰ったものの一つがpimentこと唐辛子。辛い料理がどちらかというと苦手なフランス人は、唐辛子というとpiment de Cayenneという名称で市販されている粉末の唐辛子で済ましている。この唐辛子は小瓶入りでどのスーパーでも手に入る。かなりの辛さでごく控えめに使わなければいけない分、うま味にとぼしい。辛くない粉末パプリカと併用するのも一つの手だ。フランス南西部のバスク地方にあるエスプレットという町でも唐辛子が栽培されている。そのpiment d’Espeletteは、柔らかな辛さだから少し多めに入れても大丈夫、そのうえかすかな甘みも。