Tortilla–omelette espagnole
スペインの飲み屋にはタパスと呼ばれるおつまみが並んでいるが、その定番の一つが、トルティーヤと呼ばれるジャガイモ入りのオムレツ。なんていうことはない一品だけれど、オリーブ油の香りがきいてなかなかうまい。卵とジャガイモは子どもたちの好物だし、短時間でできるし、作り方を覚えておくと重宝する。オリーブ油は上質なものを使いたい。
ジャガイモは火が通っても形がくずれないシャルロット種や、皮が赤いローズヴァル種のものを800グラムほど、皮をむいてから5 ミリくらいの輪切りにする。玉ネギ2個はあらいみじん切り。
フライパンにオリーブ油を半カップとり、まず玉ネギを炒める。中火。軽く色がついてきたら、ジャガイモを加える。時々かき混ぜながら、ジャガイモが柔らかくなるまで炒めていく。ジャガイモにカリッと焼き色をつける必要はない。テフロン加工のフライパンだと底にくっつかなくて便利でしょう。油を吸うようにクッキングペーパーを敷いたボールに玉ネギとジャガイモを移す。
大きなボールを使って卵8 個を割りほぐして塩、コショウし、玉ネギ+ジャガイモを加え混ぜ合わせる。
きれいにしたフライパンに、新たにオリーブ油を大サジ2杯とり、熱くなったら、卵+玉ネギ+ジャガイモを加える。大きいフライパンなら4センチほどの厚さになるはずだ。小さいフライパンなら2回に分けて焼く。弱火で5分焼くが、ときどき木のヘラを使って流動状態の卵をフライパンの底に流し込むようにする。
大きな皿をあててオムレツをひっくり返し、フライパンにもう一度オリーブ油を敷いてから、もう片方の面を3分ほど焼けばでき上がり。フランスのオムレツとは違って、しっかり芯まで火が通っていなくてはいけません。ひっくり返すのが面倒なら、オーブンにフライパンごと突っ込んで、上火できれいな色がつくまで焼くだけだ。グリーンサラダをたっぷり添えて食卓へ。熱々のうまさは格別だが、冷めたものをワインやビールの肴にするのもいける。(実)
●pommes de terre à chair ferme
シャルロット(la Charlotte) 種、ローズヴァル (la Roseval) 種、 ベーエフ・キャーンズ (la BF15) 種など、火を通しても身がくずれにくいジャガイモのこと。蒸したり、ソテーにしたり、煮込み料理に加えたり、あるいは皮ごとゆでてから皮をむいてサラダに入れたりするときに使いたい。スープ、マッシュポテト、フライド・ポテトには、ビンチ(la Bintje) 種などpommes de terre de consomma-tion couranteと呼ばれている、火を通すと身がくずれるタイプの方がふっくらおいしくできる。とはいうものの、シャルロット種やローズヴァル種を、皮つきのまま切って揚げたフライド・ポテトも素晴らしい。
●台所のフランス語
●omelette
プレーンオムレツはomelette nature、各種ハーブ入りならomelette aux fines herbes、ハム入りはomelette au jambon、チーズ入りはomelette au fromage、キノコ入りはomelette aux champignons 、折り重ねないオムレツならomelette plate…。フランス人は半熟のomelette baveuse (よだれを垂らしているオムレツ) ファンが多い。レストランでデザートの欄にomelette norvesienneとあっても驚いてはいけない。アイスクリームをメレンゲで包んで焼き色をつけたものだ。
●poêle antiadhesive
そのまま訳せばくっつかないフライパン。ふつうアルミ製のフライパンにテフロン加工したもので、大小さまざま、値段もさまざま。近くの朝市でチャーハン用などに買った深めの大きいものは80Fでした。クレープやオムレツなども簡単にできてしまうが、くっつかなくても味をよくするために、少量でもいいからバターやらオリーブ油を入れること。洗うときはスポンジを使い、表面を傷めないように注意したい。