前号では、子羊の肩肉をシードルで煮込んだが、今回はサバのシードル風味です。このレシピは、もうだいぶ前にディエップの近くに別荘を持っていた友人に教わったものだが、今でもわが家の食卓によく登場する。
このレシピには、中くらいの、ほどほどに脂ののったサバが向いている。頭をとってはらわたを出し、水でさっと洗って、キッチンペーパーで水気をよくぬぐったら、二つに切り分ける。
大きめのフライパンにバターをとり、それぞれみじん切りにしておいたエシャロット、玉ネギを炒める。中火。玉ネギが透きとおってきたら、やはりみじんに切っておいたニンニクを加える。ニンニクの香りが立ちのぼったところで、サバを並べ、塩、コショウ。シードルを注ぎ、ブーケ・ガルニを加える。その中に丁字を一つ入れる。沸騰してきたら火を弱くし、きっちりふたをして10分ほど煮る。シードルは辛口です。
この間に、マッシュルームを洗ってから薄切りにし、バターで炒めて水気を飛ばしておく。
サバとブーケ・ガルニをとり出す。サバは、オーブン皿に入れて、アルミホイルで包み、ごく弱火のオーブンにでも入れて冷めないようにしておく。
強火で、フライパンの煮汁を半分くらいになるまで煮詰めたら、ポマード状の生クリームcrème épaisseを加えて、泡立て器を使って混ぜ合わせる。ノルマンディー風なんだから、生クリームは乳脂肪分の高いものを使いたい。ここでマッシュルームを加え、数分火を通し、塩、コショウで味を調えれば、おいしいソースのでき上がり。
ちょっと深めの皿にサバを盛り付け、ソースをたっぷりかけ、パセリを散らす。付け合わせは、柔らかくゆで上げたジャガイモ。レモンを添える。飲み物は、料理に使った辛口のシードル、あるいはムスカデのような辛口の白ワインがいい。(真)
【 4人分 】
中サバ4尾、エシャロット3個、玉ネギ1個、ニンニク2片、マッシュルーム250g、辛口のシードル750cc、丁字が入ったブーケ ・ ガルニ、生クリーム大さじ4杯、パセリ、バター、塩、コショウ。
Maquereau
サバはキロ10ユーロ以下と安いから、庶民の味方だ。lisetteという小サバは、どちらかというとあっさりなので、そのまま粉を振って揚げたり、三枚におろしてからトマトソースと一緒にタルトも悪くない。一尾300グラム前後の中サバが、脂ののり方もちょうどよく、フライパンで焼いたり、白ワインで煮たり、オーブンでマスタード風味で焼いたり、一番使いやすい。
Crème fraiche
生クリームは、液状のcrème liquide(fleurette)とポマード状のcrème épaisseに分けられる。レシピ本の中では量りやすい液状の方がよく使われている。最後にソースに加えたりする時は、ポマード状の方が水っぽくならなくていい。ホイップしてcrème chantillyを作るなら、液状の乳脂肪30%のものが必要だ。あらかじめ、ボウルもクリームも冷蔵庫で冷やしておくこと。