アイオリaïoliは、ニンニクがたっぷり入ったオリーブ油ベースのソースで、そのソースが添えられた料理もアイオリという。マルセイユをはじめとしてプロヴァンス地方の名物料理だ。 今回は「grand aïoli」 という、家族や友人たちがそろった時に作る「ごちそうアイオリ」です。
まずそのアイオリソースを作ってみよう。本格的にはああだこうだ、とうるさい人が多いソースだが、しり込みしてはいけない。ニンニク入りマヨネーズと思ってしまえばいいのだ。ニンニクの量にビックリするかもしれないが、このくらい入れないと南仏の味になりません。ニンニクの芯をとってからできるだけきめ細かくおろし、ボウルに割りほぐしておいた卵の黄身に混ぜ入れ、塩少々も入れ、オリーブ油を少しずつ加えながらマヨネーズの要領で練り上げていき、最後にレモンの搾り汁を加えて混ぜ合わせる。ボクはタバスコソース数滴を隠し味のつもりで入れる。ラップして冷蔵庫に入れておく。
まず干ダラ。普通のタラでは、アイオリソースに負けてしまう。ちょっと面倒だけれど、前日から塩出ししてから、20分ほど弱火でことことゆでる(761号参照)。皮と骨をはずして大まかにほぐす。巻き貝のバイ貝bulotは、普通塩ゆでされたものが売られているが、たまたま生が見つかったら、コショウをきかせ、タイムやローリエの葉も加えてゆで上げる。ゆで卵も一人当たり1個用意する。
次は野菜の準備。まずよく洗うこと。新ジャガイモは小さめを選び皮はむかない。ニンジンは小さめだったら皮をむくだけ。カリフラワーは大きめに切り分ける。クルジェットは四つに切り分けてから二つに切る。サヤインゲンは両端を切りそろえる。以上を、歯ごたえが残るようにゆでるか蒸し上げるだけだ。
以上を大皿に盛り付け、アイオリソースを添えて食卓へ。プロヴァンス地方の太陽が凝縮されたようなアイオリには、コット・ド・プロヴァンスの冷えたロゼがぴったり!(真)
干ダラ1キロ、バイ貝500グラム、卵6個、新ジャガ6個か小さければ12個、ニンジン500g、カリフラワー1個、クルジェット2本、サヤインゲン500g
アイオリソース:オリーブ油350cc、ニンニク6片、卵黄2個、レモン半個分の搾り汁、塩少々
●アイオリソースには何が合う?
アイオリソースは、今回の干ダラやバイ貝、ニンジンやカリフラワーの他にも、いろいろなものに合う。別に南仏産の食材にこだわらなくてもいいのだ。海のものなら、ゆでたり蒸したサケ(ひと塩してあるものならさらにうまい)、さっと塩ゆでした小イカ、サバの薫製、ゆでエビ、bigorneauという小さく黒い巻き貝。ツナの缶詰。ローストチキンをほぐしたものもよくマッチする。薄く切ったローストポークもいい。子羊のもも肉のローストなどが残っていたら最高! 野菜なら、生のトマトやキュウリ、長ネギの白いところをさっとゆでたもの、ゆでてある赤ビーツbetterave、薄く切ってからさっとゆでたフヌイユなど。
●バイ貝朝鮮風
なるべく大きめのバイ貝bulotを800グラムほど買ってくる。1、2時間ほど濃いめの塩水に漬けておく。さっと水洗いしてから鍋にとり、貝がすっかりかぶるように水を張り、塩、そして多めにコショウし、火にかける。沸騰したら弱火にし、15分ほどゆで、そのまま冷ます。ようじを使って、身を殻から取り出す。奥に入っていたワタは切り落とし、身を薄くそぎ切りにする。これをボウルにとる。みじん切りにした万能ネギをたっぷり加え、酒大さじ3杯、しょう油大さじ1杯、ごま油大さじ1杯、砂糖少々、それにコチジャンを好みの量加えて、混ぜ合わせればでき上がり。ビール、酒、辛口の白ワインなどによく合うおつまみです。
●自家製マヨネーズ
まず卵1個を室温に1時間くらい置いておく。ボウルに卵の黄身だけをとり、泡立て器でよくほぐす。塩少々、そして失敗することがこわい人はマスタード小さじ1杯も混ぜ入れる。植物油を、最初は、1滴入れては泡立て器で混ぜ合わせ、全体が均質になったらまた1滴と加えていく。全体がとろりとなってきたら加える油の量を増やす。油を200ccも加えたら固くなってくる。最後にレモンやビネガー少々を加え、塩で味を調えれば完成。ボウルの下に布巾を敷くと、ボウルが動かなくて作業が楽になる。