パリの北西1,5km、ルヴァロワとヌイイを結ぶ中州。ジャット島は、スーラの点描画「グランド・ジャット島の日曜日の午後」が描かれた地。かつては多くの印象派画家、現在は都会の釣り人を引き寄せる。ルヴァロワ市が運営する「釣りと自然の家」は、毎水曜に子供向けの釣り教室を実施。指導するのは「釣りこそ、我が人生」と言って憚らないセバスチャン先生。幼少期に日本に住んでいた彼によると、「日本の釣り道具は世界一」だとか。
コイ、カワマス、ウナギら30種の魚が生息するセーヌ川は、実は釣りの穴場。だが80~90年代は水質汚染が深刻で、4種にまで減っていた。「近年魚が増えたのは、自治体などの努力の賜物。釣り人も努力するべき。ナイロン製の釣り糸の場合、600年は溶けないから、絶対に川に投げ込まないで」。環境意識の啓発も忘れない。
第一関門は釣り餌。都会っ子は素手でウジ虫に触るのに躊躇(ちゅうちょ)気味だが、だんだん慣れてくる。そして先生の指導のもと、慎重にセーヌに釣り糸をおろす。同じ川岸にはおじさん2人組が。朝から居座る彼らは、すでに20匹以上も釣っている。「引退後の楽しみで、パリから毎日通ってます」
一方、子供たちは、足を棒にして釣り竿を下ろすが、魚の女神は振り向かない。「疲れた~」。中には遊び始める子供も。今日は閘(こう)門が調節され水量が多く、特に難しいらしい。寄せ餌もたくさん投げたが、残念ながら、本日は釣りの成果ゼロ。「こういう日もある。良き釣り人になるには魚、川、餌について知るべきことが多い。試行錯誤を重ね挑戦するから奥が深いんだ」。釣り道は一日にして成らず。最後に併設の博物館で、釣り具やミニ水族館を見学。子供たちは次回の成功に向け、やる気に火をつけられたかな。(瑞)
● Maison de la Pêche et de la Nature
22 allée Claude Monet 92300 Levallois
01.4757.1732もしくはinfos@maisondelapeche.net (要予約)
水曜の子供向け釣り教室
(13h45-17h30) は参加費14€、
対象は7~14歳。
www.maisondelapeche.net
●Musée Aquarium de la Seine
「釣りと自然の家」内にある、セーヌの魚や釣り文化を紹介する博物館。コイやチョウザメに触れる「ふれ合い水槽」、18の水槽に囲まれた「360°水槽」などを設置。前世紀の釣り道具も豊富。1981年に釣れた世界記録の巨大鏡鯉の展示も。
Maison de la Pêche et de la Nature内。
入場料17歳以上3.5€/5~16歳2€/4歳以下無料。
水曜10h-13h / 14h-18h、土日13h-18h、バカンス中は14h-18h。7月は水〜日。8月休。
若き釣り名人、セバスチャン先生。
釣り道具にも興味津々。
自分で餌もつけられます!
「僕たち毎週、釣りにきているよ」
Maison de la Pêche et de la Nature
博物館では釣り文化を伝える。