前回、汚染対策のための運転制限について書いたが、その直後、第1回目の試験的導入が、大気汚染がひどくなったパリで行われたので、その模様をご報告しよう。
「パリを北京のようにしてはいけない!」などという国会議員の声も多く、3月17日朝5時半~深夜まで、パリおよび22の周辺コミューンで運転制限が実施された。この日は偶数ナンバーの車・バイクは走行禁止となり、対象外となったのは、救急車など緊急用自動車、エコカー(電動、ハイブリッド、ガス)、商用車、タクシー・バス、外国車など。警察官700人動員のもと100カ所の検問所が設けられ、60台のパトロールバイクが取締りを行い、5千件の違反が報告された。
取り締まりは良心的で、注意を促してそれに応じて帰宅すれば罰則はなし。それでも乗車継続する者には22ユーロの罰金が課された。結果、通常パリ首都圏内で計130キロにおよぶ渋滞が、この日は87キロに減り、乗車率は、朝のラッシュ時間にはパリで60%減少したと報告されている。
一方、レンタル自転車Velib’の短時間利用やレンタル電気自動車Autolib’が1時間無料になったことで、利用率は上昇。国会議員がトラムウェイに乗るパフォーマンスも報道された。
当初、翌日は奇数ナンバーを乗車禁止とする予定だったが、成果は十分に出たとされ、実験はたったの1日で終了した。とはいえ、3月23日の市議会議員選挙を控え、反対勢力を刺激しないために1日で終了したのではとの声もちらほら。
1997年の運転制限は社会党のジョスパン内閣の下で実現しており、社会党にとっては実に17年ぶりの悲願の運転車制限復活だったようだ。
3月17日は各種公共交通機関が無料となったが、その損失額は実に4百万ユーロ。イル・ド・フランス地域圏は国に援助を求める意向を示したが…。えーと、また税金増えるんでしょうか?(和)