スズキは天然ものと養殖ものがあって、年中魚屋に並んでいる。ムニエルにすると、養殖ものでもおいしく食べることができる(もちろん天然にはかなわないが、値段は3割安)。魚屋で、大きめのスズキなら4人で2尾、小さめなら4尾、ウロコとハラワタをとってもらって、皮付きのままおろしてもらう。いい魚屋なら、おろし身の頭の方の血合いにある骨も抜きとってくれるはずだ。
まず野菜のファルシを作る。干しトマトとニンニクはきざんでからオリーブ油に漬けておく。フランス風の大きい赤ピーマンは二つに切り分け、へたは残して中の種の部分をとり除く。クルジェットは縦に二つに切り分け、中央の種の部分を、詰め物が入るようにスプーンでかき出す。かき出したところはみじんに切る。タマネギとパセリもみじん切り。
オーブンの目盛りを200度に合わせて点火。ボウルにごはんを、詰め物8つ分として大さじ16杯とる。残りごはんで十分。フライパンにオリーブ油を少々とり、タマネギとかき出したクルジェットを炒める。透き通ってきたら、干しトマトとニンニクを、漬けておいたオリーブ油ごと加える。しばらく炒めタイム少々を散らす。これをボウルのごはんに加える。パセリ、割りほぐした卵も加え、よく混ぜ合わせ、塩、コショウする。スプーンを使ってこの詰め物を赤ピーマンとクルジェットにきっちり、こんもりと詰め、パン粉をその上に振りかけ、熱くなっているオーブンに入れる。40分できれいな焼き色が付いたらでき上がりだ。
ここでスズキのおろし身の両面に塩、コショウし、小麦粉を薄くまぶす。フライパンにオリーブ油とバターを半々にとって中火にかけ、スズキをまず皮の方から入れ、きれいな焼き色がついたらひっくり返し、もう片面にも焼き色がついたらでき上がり。赤ピーマンとクルジェットの詰め物と一緒に盛り付け、レモンを添える。
ワインは南仏のロゼかな。南仏ではスズキのことをbarではなくloup de mer(海のオオカミ)という。どう猛な魚なのです(真)
スズキ大きめなら2尾、小さめなら4尾、赤ピーマン2個、クルジェット2本、ごはん、タマネギ1個、乾燥トマト6個、ニンニク2片、タイム少々、パセリ半束、卵1個、
パン粉、オリーブ油、塩、コショウ
●bar
スズキbar は、締まった白身、繊細な風味、そのうえ小骨が少ないから、フランスでも高級魚。栄養的に見ると、脂肪分が少なく、良質のタンパク質が多いのでダイエットにも最適だ。天然ものbar péchéと養殖ものbar d’élevageに分けられ、天然ものでも網ではなく釣り上げられたものbar de ligneは値段もさらに高い。一年中食べられる魚だが、天然ものの旬は、秋から冬にかけて産卵するので、夏から初秋。地中海より大西洋産の方が身が締まっていて美味とされる。アネットやフヌイユの香りをきかせてローストしたり、フライパンで焼くのが一般的だ。最近はレストランでも、オリーブ油や塩の華を添えて生で食すカルパッチオが出るようになった。刺身にするときは、養殖ものは、あまり風味がよくない脂肪分が多いので、避けたい。
●tomates farcies
赤ピーマンやクルジェットだけでなく、トマトの詰め物もうまい。今回のレシピでは魚の付け合わせだったので、ごはんをベースにしたけれど、ふつうは、肉屋で「chair à saucisse(ソーセージ用)」として売られているひき肉をベースにする。
トマトは、へたのある部分をフタになるように横に切る。種のところを大きくえぐり出す。フライパンにバターをとりみじんに切ったタマネギを炒める。透き通ってきたらボウルにとる。ここへひき肉と、細かくきざんだパセリをたっぷり加える。
先ほどのフライパンに、トマトのえぐり出したところをみじんに切ったものを入れ、中強火で炒めていき、7、8分ほどで濃いピューレ状になったらひき肉に加える。卵も割り入れる。chair à saucisseにはすでに塩味がついているので軽く塩、そしてしっかりコショウし混ぜ合わせる。これをトマトに詰めて、へたのところを帽子のごとくのっけて、オープン皿にきっちりと並べ、オリーブ油をかけ回す。180度で熱くなっているオーブンに入れる。もし詰め物が残ったら、ホイルに包んでオーブン皿に入れます。時々焼き汁をトマトにかけながら、約1時間焼いていく。付け合わせはごはんが定番。
ソーセージ用ひき肉300〜400g、大きいトマト4個か中くらいのトマト8個、タマネギ2個、卵1個、パセリ半束、バター、オリーブ油、塩、コショウ。