恥ずかしいけれど、オランダのアルト歌手、アーフェ・ヘイニスを知らなかった。ところが、先日、何気なくFrance Musiqueというクラシック音楽中心のラジオを聞いていたら、ヴィヴァルディの『スターバト・マーテル(悲しみの聖母)』が流れてきた。その声は、僕の好きなサラ・ミニャルドでもデイヴィッド・ダニエルズでもない。そのビロードのような低音部の響き、どこかこわれてしまいそうな息づかい、息子を亡くしたばかりの母の悲しみがあらわに伝わってくる。それがアーフェ・ヘイニスだった。ソリスティ・ディ・ミラーノの演奏も秀逸。1967年の録音だが、音もいい。(真)