ブルターニュ地方に行くと、ほとんどのパン屋さんで売っているお菓子といえば、この地方の名物ファール。たまにレーズン入りもあるけれど、基本は干しプルーンpruneau入りです。食事の後のデザートというよりは、ちょっとおなかがすいた時のおやつ。朝ごはんにもおいしいものだ。そしてプルーンは便秘解消の食べ物としても知られている。
まず干しプルーンの準備です。よく切れるナイフを使って、種にそって7分目に切れ目を入れ、その種を、なるべく干しプルーンの形をこわさないようにとり出す。このままでもいいのだけれど、800ccくらいのぬるい紅茶に、2時間くらい漬けておくと、干しプルーンがふっくらとおいしくなる。ラム酒も半カップ加えるとさらに味がよくなる。
ファールは焼いているうちにふくらんで型からはみ出そうになるので、長方形で少々深い陶器の型(28cmx22cm)を使いたい。 その型にバターを塗る。オーブンの目盛りを200度に合わせて点火しておく、
ボウルに卵を割り入れ、砂糖と塩ひとつまみを加えて泡立器で混ぜ合わせたら、ふるいにかけた小麦粉を入れ、ダマができないように勢いよく混ぜ合わせる。次は、溶かしたバターと牛乳を泡立器を使いながら混ぜ入れる。最後に、香りづけにラム酒を大さじ2杯加えると、でき上がりのうまさが違う。そのラム酒が、こはく色の年代ものだったりしたら文句なし。これでファールの生地は完成。
干しプルーンをざるにあけて水気を切る。これを型の底に並べ、生地を流し入れ、熱くなっているオーブンに入れる。10分ほど経ったら、火を170度に落とし、50分ちょっと焼いていく。表面にきれいな焼き色がついたらでき上がり。熱いものより、少し冷めたものの方がずっとうまい。ちょっとの辛抱です。
レーズン入りも、紅茶に漬けることも含めてまったく同じように作ることができる。干しフルーツが材料なので、年中作ることができるのも、ファールのいいところ。(真)
干しプルーン30個、卵4個、砂糖130g、小麦粉120g、バター50g、牛乳500cc、水800cc、ティーパック2袋、塩ひとつまみ、ラム酒。
●far salé
肉料理や焼き魚の付け合わせにおいしい、Farz oaled と呼ばれる 塩味のファールにも挑戦してみたい。ジャガイモ4個は皮をむいて洗ってから、よく水気をぬぐい、粗くおろしておく。ベーコン400グラムは皮を切りとってから、拍子木形あるいは大きめのさいの目に切り分ける。
オーブンの目盛りを180度に合わせて点火し、オーブン用の型にまんべんなく有塩バターを塗っておく。
大きなボウルに卵2個を割り入れよくほぐしたら、牛乳700cc を入れ、泡立て器で絶えずかき混ぜながら小麦粉200グラムを少しずつ加えていく。おろしておいたジャガイモ、ベーコン、レーズン200グラムも混ぜ入れる。こんなにたくさんのレーズンとためらうけれど、焼き上がると適度の甘さになる。軽く塩をし、コショウをたっぷり挽き入れる。これを型に流し込み、上にバターをちょんちょんとのせて熱くなっているオーブンへ。1時間くらい経ってきれいな焼き色がついてきたらでき上がり。熱々を食卓に出して味わいたい。サラダなどを添えて簡単な食事にしてもいいだろう。
●pruneaux à l’armagnac
干しプルーンpruneauは、フランス南西部のアジャン市の名物。なるべくふっくらと大きく、黒紫色がツヤツヤとしたものを選びたい。肉料理やタジンにもよく使われる。この干しプルーンのアルマニャック漬けを紹介。
干しプルーンは大きさにもよるが一人当たり5個。今回は6人分ということで30個、よく切れるペティナイフで二つに切り分け、大きな種をとりのぞく。
小鍋にアルマニャックを200ccとる。もちろんコニャックでもいいけれど、すでにどこか干しプルーンのような香りを持ったアルマニャックの方が合う。このレシピにはそんなに高くないアルマニャックで充分だ。そこへ砂糖を大さじ3、4杯加え、弱火にかける。砂糖が溶けるように絶えずかき混ぜ、沸騰してきたら干しプルーンを入れ、再沸騰しそうになったら火から下ろす。これをボウルに移し、冷めたらきっちりとフタをして冷蔵庫に入れ、少なくとも丸二日は待ちたい。
冷たいままカップにとり、干しプルーンの香りが移ったアルマニャックを静かに注ぐ。バニラアイスとの相性も抜群だ。