交通事故発生を抑えるため多様な対策をとっているフランス政府だが、今、注目株といえるのが、近年急速に設置が増えている「赤信号レーダー(信号無視取り締まりカメラ)」だ。
レーダーといえばスピード取り締まりが主流だが、これはその名の通り信号無視ドライバーをカメラで撮影するというもの。違反者は1番目のレーダー(主に停止線)を赤信号で通過した際に1枚、約3メートル後に設置された2番目のレーダーを通過した際にもう1枚を撮られ、その時点で違反が確定。免許マイナス4点、135€の罰金が科される。運転席が通過した際に青で、その後赤に変わった場合は撮影を行わない仕組み。
2012年は国内689台の赤信号レーダーにより68万件が違反報告され、単純計算で約9千200万ユーロが国庫に入ったという。1日の違反撮影回数ランキングは、筆頭が、パリの18区にある Boulevard de la ChapelleとRue Philippe de Girardの交差点の105回。そして上位5位をパリ及び近郊が占めている。
その一方で、取り締まりを避けるために急停止をするドライバーが増え、信号付近での追突事故増加も報告されている。
私の周囲の反応はというと「私が消防士という立場から意見すると、レーダー設置前は赤信号を徐行する車のお陰で通れたのに、現在は青になるまで待たなければ動けない。緊急の時は本当に困る。個人的にはよいとは思うけど(ダビッド 35歳)」、「前方車両が急停車しないかと内心ヒヤヒヤする(セバスチャン 42歳)」、「赤信号で通る人間はレーダーがあっても通るから大して意味がないようにも思う(シルヴィ55歳)」と、やや否定的。とはいえ今後は交差点事故の統計で、カメラ設置の効果も見えてくるはずなので、その時にもう一度聞いてみることにしよう。(和)