ブルターニュからパリに向かう帰り道の高速道路。まだ17時だというのにあたりはすでに真っ暗になっていた。高速道路は農場か畑しかなく、時々街を横切ることもあるが、その明かりは道路を照らすほどではない。交通量も少ないので自分のライトだけを頼りに、私は若干の恐怖感を感じながらハンドルを握っていた。突然助手席のパトリックに「どうしてパーキングエリアに入らなかったの? ガソリンを入れる予定だったでしょ」と、注意を受けた。看板がわかりにくく、うっかり通り過ぎてしまったのだ。
「注意していたんだけど、道が暗くてわからなかったの。日本の高速道路だったら、もっと明るいから見逃さなかったわ。フランスの高速道路はどうしてこんなに暗いの? 雨が降ったら、もっと危ないわ」と反論。「そういえばそうかな? 最近政府は、高速道路が明るいせいでドライバーがスピードを出すから事故が発生してしまうということで、高速道路の照明を減らす動きを始めたんだよ」と目からうろこの返答がきた。「それはすごい考えね」。
「ちなみに隣のベルギーでは高速道路が暗いせいで事故が増えるといって、高速をどんどん明るくする対策が取られているんだ。どちらがよいかはわからないけどね」。パリを囲む「ペリフェリック(環状線)」やパリ近郊の国道などは従来通り明るいままなのに、地方へ行くほど暗くなっているような気がしていたが、この対策のせいだったのか!
節電中の日本の高速道路より暗い、通常のフランスの高速道路。確かにこの対策の影響で、夜のフランスの高速道路は、単調で変化がなく、すぐに眠くなってしまう道路へと変わり、ここ最近、運転を控え気味にしていたのは事実だ。もしかして、これが政府の狙った効果なのだろうか?
フランスとベルギーという隣り合う国の、正反対の対策。さぁ、軍配はどちらに?(和)