「thalassa」はギリシャ語で「海」の意味。国営のFR 3局で放映されている『Thalassa』という番組は、1975年に、海の世界のとりこになっていたドキュメンタリーカメラマン、ジョルジュ・ペルヌーが思い立ったもの。フランスのテレビ界でトップ3に入る長寿番組で、1989年からはプライムタイムに移り、現在でも毎週約400万人が見ているという人気ぶり。
それもそのはず、フランスは、北海・英仏海峡、大西洋、地中海と三方を海に囲まれ、ダンケルクからマントンまでの海外線は5500km、海外領土の島々の海外線も含めれば7000kmという海の国。それぞれ独特の自然と習慣をもった島も多い。多くのフランス人のバカンス先は海、それに漁業や造船業も盛ん。マルセイユ、ル・アーヴルといった世界的規模の港もある。大西洋を横断するヨットレースのスタートには10万人近い人が集まる。そんなフランス人の海への情熱に着眼したペルヌーのカンのよさ!
サンブリュー湾の45分勝負のホタテ漁、究極のダイビングスポットはバハマのブルーホール、2005年に9カ月間漂流したメキシコの3人の漁師、反捕鯨のテロ的行為を繰り返すポール・ワトソン、奥尻島の巨大な防潮堤、南アでの命がけのアワビ密漁、海洋の30メートルに達するフリークウェーブ、巨大生物伝説の海ヘビはリュウグウノツカイ…、とテーマは尽きない。そう、現代の人間たちが吸い寄せられる一番未知な世界は「海」。(真)
FR 3/金曜20h35。