
2026年の夏は猛暑で、冷房が効いた映画館に客足が戻った。アントナン・ボドリー監督の歴史大作『La Bataille de Gaulle』は二部作で計300万人(記録は更新中)超の大ヒットに。とはいえ、合計5時間20分の長さにひるむ人もいるかもしれない。
もっと気軽におフランスの題材を扱った映画を見たければ、1時間15分の映画『De la Comédie-Française』はいかが?ラルプ・デュエズのコメディ映画祭で観客賞を含む4冠を受賞した話題作。舞台はルイ14世の勅令で1680年に創立された名門の国立劇場。バンジャマン・ラヴェルネ、マリナ・ハンズら映画でも主演作がある看板俳優が揃い、軽やかで自虐的な舞台裏映画を作った。

演出家のニーナ(ポリーヌ・クレマン)は3時間後に『マクベス』の初演を迎える。しかし、社員バッジをなくし劇場に入れず、出演者はストで足止め。さらに不倫騒動が持ち上がるなどトラブルが続発。無事に幕は上がるだろうか。
本拠地リシュリュー館の工事期間を利用し撮影を敢行。俳優も脚本に加わり、演劇界の裏話や慣習が盛り込まれた。その意味ではトリュフォーの映画『アメリカの夜』の演劇版の趣もある。
ベルトラン・ウスクラとマルタン・ダロンドーの共同監督作品。ウスクラはオンライン動画メディアBrutのパロディ『Broute』で名を上げた若き俳優兼演出家だ。動画時代のクリエイターだからか、本作はテンポが良過ぎて余韻の時間などはない。やはり長い映画に耐えられない人のための映画かもしれない。老舗劇団が注目されるのは嬉しいこと。だが、一流の俳優たちがここまで時代に迎合しなくても、という一抹の寂しさも感じた。(瑞)

