
日本では「国境(フロンティエール)」という単語はあまり馴染みがないのかもしれない。何せ島国であるし、違う国へ旅行することを「海外旅行」といい、「外国旅行」とは言わない。詰まるところ、国境は地続きではなく海の上。フランスとドイツの国境にライン川があるように、わかりやすい目印というものがないのだ。
今でこそ確立したものであるかのように存在している国境だが、それは資源や富を求めて争われたものであったり、政治や権力構造などによって定められたものであったりと、あくまで自然発生ではなく、人工的で流動的なものである。パリの科学産業博物館で開催されている展覧会「Frontière」ではまずこのような趣旨の掲示から始まる。

十のテーマに分けられた今回の展示は、実例を通して世界各地の国境の現状を紹介するセクションがある。たとえば厳重に管理され、絶え間ない緊張状態にあるメキシコ−アメリカ間や韓国−北朝鮮間の国境。たとえば変わりゆく国境地帯が不安定さを助長するロシア−ジョージア間の国境。たとえば資源を求め、リスクを冒す人々がいるニジェール−アルジェリア間の国境。実際の人物や課題をもとに、理解しやすくする工夫がなされている。
また、見えない境界線としてサイバースペースが取り上げられているのも興味深い。人が受け取る情報は地理的制約や地政学的問題の影響を免れないということがインタラクティブマップを通して確認できる。
もちろん海の上の国境も忘れられていない。地中海を通ってヨーロッパへの命懸けの越境を試みる難民について、死亡者のリストや地図により、いかに危険であり、また世界で最も死者を出している国境の一つであることを思い起こさせる。そのほか、海上国境の流動性や主権について、ゲームを通して考察できるようになっている。
本展覧会では多角的に「フロンティエール」について考えられるよう構成されている。映像やクイズなど展示もとても工夫されているので、ぜひ時間をかけて見学したい。(世)2028/1/2まで


La cité des sciences et de l’industrie
Adresse : 30 avenue Corentin Cariou 月曜定休。, 75019 Paris , Franceアクセス : Porte de la Villette(7号線)
URL : https://www.cite-sciences.fr/fr/au-programme/expos-temporaires/frontiere
月休。火―土:10h-18h。日:10h-19h。15€/12€。
