
ナント市民がロワール川に法的人格を与える立法を検討。
仏中西部ナント市の市民がロワール川に法的人格を与える法案を準備している。12月8日付電子版ル・モンド紙が伝えた。川に人格を与えようという動きはローヌ川やセーヌ川に続くものだ。
同紙によると、外国の研究者受け入れ機関である「ナントの進歩的研究院(IEA)」や文化センター、市民団体などの呼びかけで、ロワール川の環境保護のために川に法的人格を与えようという動きが活発になっている。これら市民らは今年初めから2つの法案の策定を進めており、それを地元出身のシャルル・フルニエ国民議会議員(エコロジスト党)が国会に提出する予定。同議員はすでに川などの“自然のもの”を守るために地域レベルで人格を与えようという試験的な試みを2026年度予算案に盛り込む修正案を提出した。
世界ではこうした試みが数多くある。コロンビアでは2016年にトタ湖や7つの川に、ニュージーランドでは2017年にワンガヌイ川に、スペインでも2022年の法律でマール・メノール(塩湖)に法的人格が与えられている。
例えばワンガヌイ川は先住民のマオリ族が700年以上にわたり支配し守ってきたが、ヨーロッパ人の入植によってマオリ族の権限は失われた。だが、政府がその川を「不可分の生きた存在」と法的に認識することにより、権利を守られるべき存在となった。同国では今年1月末にもタラナキ・マウンガ(タラナキ山)が「祖先」であり、「生き物」だというマオリの世界観が認められた。
また、エクアドルでは2008年制定の憲法の71条で、自然は「その存在および、ライフサイクル、構造、機能、進化過程の保全と再生を完全に尊重される権利がある」と定められており、あらゆる個人や自治体や地域社会、国家や国民が、エクアドル当局に対して「自然の権利」の擁護を求めることができるようになった。
こうした積極的な動きほどではないが、スイス・ローザンヌで2020年頃からローヌ川に法的人格を与えようという動きがあったほか、フランスでも今年6月にパリ市議会がセーヌ川に法的人格を与える法案を制定するよう国会に要請する議決を行った。その目的はセーヌ川に人格を与え、自らを守ることができるようにすることだ。
ただし、こうした動きの効果を疑問視する声もある。フランスでは川などは環境保護法で「国の共通の遺産」としてすでに保護されていると指摘し、法的人格を与えることによって環境保護問題が解決されるわけではない上に、法的な混乱を招くという法律家の指摘もある。しかし、「自然の権利」を認めることによって自然保護の手段が増えるなら、それも一つの方法だと言えるだろう。(し)



