
パリ南郊(パリの隣県ヴァル・ド・マルヌ県)にあるVillejuif – Gustave Roussy(ヴィルジュイフ=ギュスターヴ・ルッシ)駅(14号線)が、昨年12月「ヴェルサイユ建築賞」を受賞した。
同賞は10年前に創設されたもので、2025年は空港、世界で最も美しい大学キャンパス、ミュージアム、ホテル、ブティック、レストラン、スポーツ施設などの部門がある。審査員の顔ぶれも、建築家では中国の马岩松(Ma Yansong)、米トム・メイン、他分野からはユネスコのイリナ・ボコヴァ事務局長や、女優エマ・ワトソン、ピアニストのラン・ランら、有名な芸術家たちが名を連ねている。

Villejuif – Gustave Roussy駅(14号線)はパリを南北に縦断する地下鉄14号線の新駅で、国際的建築家ドミニク・ペロー氏が手がけた。国内で有名なものではフランソワ・ミッテラン国立図書館などがある。
「構想当初から、深さ50メートルの円筒形を考えた。円筒は最も安定する形であり、使う素材も最少ですむ」。地面と円筒の間に流し込まれたコンクリートの厚さは1メートルだが、円筒形であることで堅固な構造が得られるという。また、円は、人々に集まることを誘う形でもある。14号、15号と2線が乗り入れ多くの人が行き交う駅では、その流れを円の中心へ、そしてそれぞれの目的の方向へとスムーズに導くことができるという。
グラン・パリ・エクスプレス交通網の新駅は、建築家とアーティストがペアを組んで駅舎をデザインする。この駅は、ペロー氏とチリ出身のアーティスト、イヴァン・ナヴァロ氏がコラボレーション。58の星の名が刻まれた照明を使った「日時計」の作品があるほか、透明の天井から駅の深い部分まで光が射し込むのが特徴で、その射し込みぐあいで時間までわかりそうな気がする。

グラン・パリ大首都圏計画
「グラン・パリ大首都圏計画」が2010年にスタートしてから15年が経過し、その大首都圏の交通網「グラン・パリ・エクスプレス」も少しずつ拡充され、郊外でも比較的スムーズに移動できるようになってきた。2031年には1200万人が利用するイル・ド・フランス地域圏(パリ大首都圏)の大交通網の全線が開通する予定だ。今はまだ郊外から郊外へ移動するにも、いったんパリまで行って乗り換えするなど遠回りをしなくてはいけないが、郊外から郊外へとスムーズに「横」の移動ができるようになる。

ヴェルサイユ賞に輝いたヴィルジュイフ=ギュスターヴ・ルッシ駅がある14号線は、パリ市内初の無人運転の地下鉄として、1998年に市内の7駅(マドレーヌMadeleine駅からフランソワ・ミッテラン新国立図書館Bibliothèque François Mitterrand駅)を結んで開通した。
少しずつ延長され、昨年はついに北はサン・ドニ=プレイエル(Saint-Denis Pleyel) 駅と、南はオルリー空港を結んだ。北も南も、今後は大パリの環状線15号線も乗り入れる大きなハブ駅となる。15号線が開通すれば、1日に10万人が使うことになる。(実)




