レオナルド・ダ・ヴィンチが1516年から亡くなる1519年までを過ごしたアンボワーズのクロ・リュセ城では、「Biomimétisme」をテーマとした企画展が開催されている。語源はギリシャ語にあり、「自然を模倣する」という意味をもつ。人類は古くから植物、昆虫、鳥、海洋生物などの形や機能に学び、新たな技術やデザインを生み出してきた。その歩みを実感できる展覧会だ。芸術家、建築家、技師として多才だったダ・ヴィンチもまた、自然から大きなインスピレーションを受けていたことが、直筆の記録やデッサンからうかがえる。
ロボットやAIが人間を超えるのではという不安がよぎる現代において、そのテクノロジーの源流が「自然の模倣」にあると知ると、どこか安心感を覚える。そして自然が生み出す奇跡のような色彩や形態の美しさに、改めて感動させられる。




企画展を見終えたら、城内の美術館へ足を運びたい。ダ・ヴィンチの寝室や食堂、『モナ・リザ』を仕上げたとされるアトリエが見学できる。また、ダ・ヴィンチが考案した建築物や機械・兵器の模型も再現されている。(2021年にオープンしたレオナルド・ダ・ヴィンチのデジタルアート室の記事はこちらから。)
ダ・ヴィンチが1516年、アンボワーズ城にやってきたのは、国王フランソワ1世(1494‐1547)からの招きを受けてのこと。フランソワ1世は、イタリアとの戦争を繰り返すなかで、イタリアのルネサンスを発見し、フランスに積極的に取り入れたことから「ルネサンスの国王」と呼ばれた。


さらに庭を散策すると、あちこちにダ・ヴィンチの発明品の模型が設置されており、子どもたちが実際に動かして遊ぶ姿も見られる。庭を彩る植物のそばに立てられた植物名のパネルにはダ・ヴィンチのデッサンが添えられていて、この庭で植物を細かく観察していた天才の気配が、時を超えて息づいているかのようだ。



クロ・リュセ城を後にしたら、アンボワーズ市内の散策もおすすめだ。アンボワーズ城はもちろん、ダ・ヴィンチが埋葬されているアンボワーズ城のサンテュベール礼拝堂(Chapelle Saint Hubert)を見るのも一興だ。城下町にはルネサンスの雰囲気を伝える可愛らしい街並みが広がり、すぐそばを流れるロワール川沿いはサイクリングコースとしても人気があり、自転車旅行者の姿も多く見られる。


* アンボワーズ=ロワール渓谷観光局 (Office de Tourisme Amboise Val de Loire)
Quai du général de Gaulle 37400 Amboise
Tél:02.4757.0928
毎日 10h-18h(日曜は-17h)。

Le Château du Clos Lucé - Parc Leonardo da Vinci
Adresse : 2, rue du Clos Lucé , 37400 Amboise , FranceTEL : 02 47 57 00 73
アクセス : 企画展は9月10日まで
URL : https://vinci-closluce.com/fr
パリ・モンパルナス駅からアンボワーズ駅まで電車で約1時間半。駅から城までは徒歩約20分。 24.5人/15€/15.5€学生(企画展、城内美術館、庭園の見学込)。
