Croque-monsieur

カフェで簡単にお昼ごはんをすませたいのなら、クロック・ムッシュだろう。パリならではのこのホットサンド、1910年に、オペラ座に近いキャピュシーヌ大通りにあったビストロで考案されたという。グリーンサラダやフリットが付いていることも多いので栄養のバランスもわるくない。本格的にベシャメルソースも用意し、クロック・ムッシュをつくってみよう。
パンは食パンpain de mie。好みで精白粉のものでも、少し褐色がかった全粒粉のものでもいい。スーパーなどであらかじめスライスされているものを買ってくる。
ハムは、どこのスーパーや肉屋でも手に入るjambon blanc、あるいはjambon de Parisと呼ばれる加熱されたハムをつかう。ハムがクロック・ムッシューの味の決め手なので、肉屋で上等のハムを選び、一人当たり1枚半として6枚、薄く切ってもらう。
パン8切れを軽くトーストしておく。
次はベシャメルソースをつくる。厚めの鍋にバターをとって中弱火にかけ、それがとけたら小麦粉を加えて混ぜ入れ、1分ほど火を通して火からおろす。ここへ冷たい牛乳を2度に分けて注ぎ、泡立て器で勢いよく混ぜ合わせる。だまなくなめらかになったら、火にもどし(弱火)、泡立て器で混ぜ合わせていき、グツグツッと泡をふくようになったら火からおろし、塩、コショウ、そしてナツメグ少々もおろして混ぜ入れる。
オーブンの目盛りを200度にして点火。
天板にクッキングシートを敷き、食パン4切れを並べ、ベシャメルソースでおおう。その上にハムを1枚半ずつ広げ、エマンタールやコンテのチーズをおろしてまんべんなく振りかける。残りのパン4切れをのせ、ベシャメルチーズで厚めにおおい、さらにおろしチーズを振りかけ、軽く手で押しつけ、熱くなっているオーブンへ。10分ほどでチーズがとけたらオーブンをグリルモードにし、天板をオーブンの上段にうつす。写真のごとくきれいな焼き色がついたらでき上がり。とろけるようなベシャメルソース、糸をひくチーズの香り、カフェのクロックムッシュもかなわない!マスタードとコルニションを添えます。(真)
【材料4人分】
食パン8切れ、薄く切ってもらったハム6切れ、おろしチーズ120g
ベシャメルソース : バター40g、小麦粉40g、牛乳400c、塩、コショウ、ナツメグ少々
Croque-madame
croque-mademoiselle…
クロック・マダムとクロック・マドモワゼル

クロック・ムッシュのバリエーションといえば、まずクロック・マダム。これもたいていのカフェでたのむことができる。クロック・ムッシュに目玉焼きをのせたもので、とろりとした黄身とベシャメルソースが混じり合って美味。新顔にクロック・マドモアゼルというのもある。ハムのかわりに、薄く切ったトマトやさっといためた輪切りのクルジェットをはさむクロックで、ベジタリアン向け。
ディディエさんのクロック

友人のディディエさんから教わったクロックも絶品だ。「ポワラーヌ」のような天然酵母をつかったパンpain au levain (Monoprixなどでもスライスされたものが手に入る)を4人分として8枚、バイヨンヌ産などの生ハムを4枚用意する。ベシャメルソースに小さなさいの目に切ったロックフォールチーズをとかし入れておく。パンにバターをぬって、生ハムをはさみ、はみでた分は切りとる。パンの上にベシャメルをまんべんなく広げ、クルミをいくつかおいて、熱くなっているオーブンへ。生ハム、ロックフォール、クルミの三拍子そろったうまさ。ロックフォールは、入れすぎるとベシャメルがしょっぱくなるのでほどほどに。
Cornichon

キュウリの一種で、小さいうちに収穫されて酢漬けにされたもの。その酸味と歯ごたえが愛されて、パテやテリーヌ、ソーシソンや生ハムに添えられる。冷製のローストビーフやローストポークとの相性もいい。細かくきざまれたものはタルタルステーキの味を引きたてる。
豚肉のグリルやソテー用の、辛いソースsauce piquanteや白ワインベースの豚肉屋風ソースsauce charcutièreにも入る。というわけで、冷蔵庫に常備しておきたいものの一つだ。ポーランド人やロシア人は、ひと回り大きい“cornichon à la russe”とか“cornichon Malossol”と呼ばれるものを好む。酸みは軽く甘みがあり、ウイキョウやアネットの香りがつけられている。
